季節毎にスポーツ栄養学コラムを掲載しています。
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過去に臨海球技場で限定販売しておりましたオリジナルスポーツ食「魚肉カレーフレンチドック」「ささみスイートチリホットドック」のレシピも紹介しています。

コーディスポーツ 管理栄養士 寺尾美佳





第7回:小松菜とスポーツ栄養


2018 年 9月

江戸川区ゆかりの食品とスポーツ栄養

 

第 7 回:小松菜とスポーツ栄養

 

 江戸川区は小松菜の生産量東京都第 1 位で全国でも屈指の生産量を誇っています。江戸川区のホームページではそんな小松菜の魅力をたくさん紹介しています。小松菜の名前の 由来や小松菜商品、小松菜レシピやイベント情報など。
江戸川区の農産を応援するキャラ クターのえどちゃんは小松菜をイメージしたキャラクターとして活躍しています。今回は、小松菜の栄養の特徴とスポーツする方にとって欠かせない栄養素である点をご紹介いたし ます。

 

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1)小松菜について

 

 小松菜は緑黄色野菜で抗酸化作用のあるβ―カロテン、ビタミン C、E がバランスよく含まれた野菜です。しかも野菜の中でもカルシウムの含有量はトップクラス。抗酸化作用があるため、細胞の老化やがんの発症を予防すると言われます。

写真は江戸川区の小松菜です。

 

 

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2)緑黄色野菜の特徴

 

 小松菜の他に、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草などがあります。小松菜と同様にβ―カロテン、ビタミン C、カルシウム、鉄などビタミンやミネラルのほか、食物繊維が豊富に含まれています。緑、黄色が鮮やかな野菜はすべて緑黄色野菜と思いがちですが、実際は見た目の色ではなく、含まれているβ―カロテンの量が関係しており、100g中のβ―カロテンが 600μg(マイクログラム)以上のものを緑黄色野菜とよんでいます。
β―カロテンの特徴として体内でビタミンAというものに変わります。それは、目の健康、皮膚や粘膜の生成などに関わっている大切な栄養素になります。

 

 

3)小松菜とスポーツ栄養

 

 スポーツをしている、していないに関わらず、野菜を摂取することは必要なビタミン、ミネラルを取り入れ、身体の調子を整える役割があります。スポーツをしている人は運動量が多いことに加え、発汗量も多くそこから栄養素が流れ出ているとも言われますし、摂取しなければならない栄養素が一般の人に比べて多くなります。野菜には小松菜や人参などの緑黄色野菜ときゅうりやレタスなどの淡色野菜があります。どちらも必要ですのでバランスよく摂ることが理想です。運動強度が高くなればなるほど、疲労により食欲が落ちる、噛むこと自体疲れるといったことがあります。そんなときは、野菜であれば淡色野菜よりは栄養密度の濃い緑黄色野菜を勧めます。
緑黄色野菜に含まれるβ―カロテンは油脂に溶け込むと体内に吸収されやすくなる特徴があるので、煮物やスープにする際も軽く炒めてから煮ると効率よく栄養素が摂取できます。
小松菜を上手に取り入れて、身体の調子を整えていきたいですね。

 

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳

 

 

第6回:小麦粉とスポーツ栄養


2018 年 6 月

江戸川区ゆかりの食品とスポーツ栄養

 

第 6 回:小麦粉とスポーツ栄養

 

 江戸川区の名産の一つにくずもちがあります。くずもちと言えば葛粉を原料として作っていると考えますが、江戸川区で作られているくずもちは小麦でんぷんを主材料にして作られています。今回は、小麦粉の種類やその特性をスポーツ栄養においてどのように活用できるかをお伝えします。

 

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1)小麦粉について

 

 小麦粉の特徴は水を加えると、たんぱく質であるグルテンの弾性や粘性が増して、パンが膨らみ、麺のこしが生じます。種類は薄力粉、中力粉、強力粉に分けられその違いはたんぱく質の含量となっています。薄力粉はたんぱく質の含量が少なく、粉が細かくて、菓子やケーキ、てんぷらの衣などに向いています。中力粉のたんぱく質の含量は薄力粉と強力粉の間であり、うどんや和菓子などに向いています。強力粉は一番たんぱく質の含量が多く、粉が粗くて、パンや餃子の皮などに向いています。

 

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2)小麦粉食品と GI 値

 

 GI 値(グリセミックインデックスの略)という言葉を聞いたことはありますでしょうか? この値は、食品を食べてから体内に消化吸収され、そのあとブドウ糖となって血糖値が上昇する速度を表しています。指数が高ければ吸収が早く、低ければ吸収はゆっくりであることを示しています。穀類の場合は精製したものほど指数が高い傾向にあります。パスタは、ごはんやパンに比べて GI 値が低い食品となります。

 

 

3)GI 値とスポーツ栄養

 

 食パン、うどん、フランスパンなどの GI 値が高い食品は吸収が早いという特徴があります。運動前や運動後に有効であり、体内のグリコーゲン(糖質が体内に入るとグリコーゲンとして蓄えられる)を回復させたいときにはよいと考えられます。ただ、GI 値は調理方法や食べ合わせによって変化するので、油を使って調理したものなどと一緒に食べると GI 値は低下します。

 GI 値が低い食品は、寝ている間など筋肉が糖質を必要としているときに血液中のグルコースの濃度を長期間高くしてくれます。ただ、消化吸収が遅く、食物繊維の含有量が多いため、量は食べづらいことも考えられます。

 小麦粉食品の特徴を知って、運動前後の補食や食事に活かしていきたいですね。

 

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳

 

 

第5回:オランダ料理とスポーツ栄養


2018 年 3 月

江戸川区ゆかりの食品とスポーツ栄養

 

第5 回:オランダ料理とスポーツ栄養

 

 来る東京2020 大会に向けて江戸川区はオランダの「ホストタウン※1」として登録されました。オランダの料理をスポーツ栄養の視点を交えてご紹介します。
※1:東京2020 大会に向け、スポーツ立国、グローバル化の推進、地域の活性化、観光振興等を図るために、大会参加国や地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図る地方公共団体。(引用:江戸川区HP より)

1)スタンポット

 オランダ人は朝食と昼食はパン、チーズ、ハムなど簡単で火を使用しない冷たい物で済まし、夕食に温かい料理を食べることも多いそうです。調理法は蒸す、茹でる、煮込むといったシンプルなもの。今回ご紹介する「スタンポット」は温かい料理の定番です。じゃがいもや野菜を煮込んで潰し、盛り付けにソーセージや肉団子を添えるのが一般的です。

  • 材料(3~4人分)g(目安)
  • じゃがいも 570(小10個)
    茹でほうれん草 65
    牛乳 大さじ2
    バター 10
    ソーセージ 65(1本)

  • ★ソース
  • コンソメ 小さじ2
    料理酒 小さじ1
    牛乳 大さじ1
    ウスターソース 小さじ1
    バター 小さじ1
    ベーコン 17(2枚)
    大さじ2

 

 ※ソースの水の量は調整してください。

             

エネルギー

kcal

たんぱく質

g

脂質

g

炭水化物

g

スタンポット(写真の栄養価) 906 22.9 41.4 111.9
ソーセージ1本65g 210 7.5 19.4 1.3
ソースのみ 153 3.5 11.9 6.6

 

 

【作り方】

①鍋に塩を入れてじゃがいもを15~20 分茹でる。
②熱いうちに鍋の中で①を潰しながら、牛乳・バターを加えて混ぜる。
③茹でたほうれん草を食べやすい大きさに切り、②の鍋の中に入れて混ぜる。
④③の上にソーセージをのせ、蓋をして余熱で蒸す。
⑤ソースを作る。ベーコンを細かく切り、フライパンで炒める。
⑥火を止めてから、ソースの残りの材料を入れる。
⑦⑥を火にかけて混ぜ合わせる。
⑧ソーセージは好みのサイズに切って盛り付けし、ソースもお好みでかける。

メイン食材であるじゃがいもの主成分は炭水化物で、運動する際エネルギー源として期待できます。さらにビタミンC も豊富で抗酸化力に優れています。運動で体内に発生した活性酸素を取り除いてくれます。野菜はほうれん草を選びました。ほうれん草は緑黄色野菜でビタミン、鉄、カルシウムが豊富に含まれています。ソーセージは1 本65g の大きめのものを使いました。オランダではスタンポットの付け合わせにスモークソーセージを好む方が多いそうです。

 

 

 今回は右の写真のソーセージを使いました。スモークされており、香りがとてもよかったです。豚肉のソーセージやハム類は、疲労回復を助けてくれるビタミンB1 が豊富にふくまれますが、脂質も高いので食べる量に注意が必要です。

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全体の栄養価はソーセージとソースのベーコンで脂質が高くなりました。じゃがいもには炭水化物が豊富ですが、脂質が高いと消化に時間がかかることがあるため、運動前には控えた方がよさそうです。

下記の写真はソーセージをのせて25g の大きさにしてラップで丸めたものです。食べやすい1 口サイズにしました。

栄養価は1 個34kcal、たんぱく質1.0g、脂質1.8g、炭水化物3.6g です。練習後の食事や食欲が落ちている時などにいかがでしょうか?ソーセージの塩気でパクパク食べられるかもしれません。

 

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2)エルテンスープ

 

乾燥したえんどう豆を使ったスープです。オランダでは定番のスープで「おふくろの味」と言われています。たっぷりの野菜をじっくりコトコト煮るのでポタージュというよりは食べるスープになります。現地では盛りつけたスープにスプーンをまっすぐ立たせられる位の濃さがよいとされています。ライ麦パンを添えて食べることが多いそうです。

  • 材料(5~6人分)g(目安)
  • 乾)えんどう豆 250
    人参 150(1本)
    牛乳

    200(1個)

    バター 170(小4個)
    ソーセージ 195(3本)
    ベーコン 52(6本)
    3

 

             

エネルギー

kcal

たんぱく質

g

脂質

g

炭水化物

g

エルテンスープ(全量) 1987 89.3 85.0 217.6
ソーセージ1本65g 331 14.8 14.2 36.3

 

 

【作り方】

①乾燥えんどう豆をさっと洗い、半日くらい水につけておく。
②鍋に水1 リットルと①のえんどう豆と塩ふたつまみ位をいれて煮立たせ、沸騰したらあくを取る。
③人参・玉ねぎ・じゃがいもはみじん切り、ソーセージ・ベーコンは食べやすい大きさに切って②の鍋の中に入れる。
④弱火でトロトロになるまで煮込んで、塩で味を整える。

 

 

えんどう豆の主成分はたんぱく質と炭水化物です。豆類の種類として、あずきやそらまめ、いんげん豆はえんどう豆と同じでたんぱく質と炭水化物が多く、脂質が少ないです。私たちがよく食べるのは味噌などの調味料や豆腐、納豆など大豆の加工品が多いのではないでしょうか。大豆はたんぱく質と脂質が多く、炭水化物が少ないです。

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えんどう豆はビタミンA、ビタミンB1 も豊富に含みます。運動をしている人にとっては素晴らしい食材です。たくさんの野菜を一緒に煮込むことで栄養価もあがります。いつ食べてもよいですが、朝食は野菜料理が丌足しがちになるので、食べるスープとしておすすめです。
栄養価はソーセージとベーコンを入れたため脂質が高くなっています。脂質が気になるときはソーセージとベーコンの量を調整することや、代わりに豚肉を入れるのもよいと考えます。ソーセージやベーコンの量を減らすと塩気がなくなるので塩で調整もよいですが、チーズを入れる、パルメザンチーズをかけるのもおすすめです。 

 

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~終わりに~

運動をしている人は色々な食材から栄養を補うことによって、疲労回復が早まることや怪我の予防が期待できます。メイン食材のじゃがいもとえんどう豆は運動をしている人にとって毎日摂りたい栄養素が豊富に含まれています。紹介したオランダ料理は家庭料理でアレンジがきくものです。これを機に普段のレパートリーに加えてみてはいかがでしょうか?

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳