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コーディスポーツ 管理栄養士 寺尾美佳





第12回:瞬発力系スポーツの献立例


2019 年 10月

 

 

第12回:瞬発力系スポーツの献立例

 

 

 第11回では瞬発力系スポーツの栄養素のポイントをご紹介しました。今回はポイントとなる栄養素を取り入れた夕食の献立例をご紹介します。
第10回と同様、以下のエネルギー設定になっています。

 

 1 日のエネルギー摂取量は約 2,500kcal の設定です。1 日約 2,500kcal を必要とする選手はトレーニング期の女性選手や減量中の男性選手です。
日本人の食事摂取基準※1で 1 日約 2,500kcal を必要とするのは、18~49 歳の身体活動レベルⅡの男性になります。1 日約 2,500kcal について朝食は約 750kcal、昼食は約750~1000kcal、夕食は約 1,000kcal としました。

※1:健康な個人または集団を対象として、国民の健康の保持・増進、生活習慣病の予防のために参照するエネルギー及び栄養素の摂取量の基準を示すもの

 

 

【写真1: 瞬発力 系スポーツの 夕食献立 例】

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カテゴリー
料理名
kcal
主食
ご飯
420
主菜
サバの南蛮漬け
323
副菜①
鶏と里芋の煮物
113
副菜②
茹で野菜サラダ(ドレッシング含まず)
61
副菜 (汁物 )
木綿豆腐とわかめの味噌汁
44
牛乳・乳製品
低脂肪牛乳
92
果物
りんご・キウイフルーツ
48
エネルギー
1,101kcal
たんぱく質
50.4g
脂質
20.8g
炭水化物
173.3g
亜鉛
4.7mg
ビタミン D
10.6mg
ビタミン C
106mg 

 

 良質なたんぱく質を摂取するために主菜はサバ、副菜には鶏むね肉を使いました。サバの南蛮漬けは玉ねぎ、人参といった野菜も同時に摂取できます。味噌汁の具もたんぱく質の 豊富な木綿豆腐を使用しました。
糖質は白米をしっかりと 250g摂り、副菜の里芋とかぼちゃからも補えるようにしました。ビタミン Cは野菜、果物、イモ類に多く含まれています。 キウイフルーツはビタミンCが豊富に含まれています。 瞬発力系の献立に関わらずスポーツをしている人は特に意識して摂りたいですね。

※献立内容はあくまでも通常練習中の夕食を想定してい ます。

 

 

【料理の作り方】
~分量は 1 人分です~

 

主食
ご飯
白飯・・・250g

主菜
サバの南蛮漬け
サバ・・・90g(1切れ25~30g)
玉ねぎ・・・20g
人参・・・20g
ピーマン・・・10g
揚げ油・・・適量
合わせ調味料(2人分)
水・・・100cc
醤油・・・50cc
酢・・・50cc
酒・・・25cc
みりん・・・25cc
砂糖・・・50cc
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① サバを食べやすい大きさに切る。
②野菜を千切りに切る。
③① に薄力粉をまぶす。
④③を 油で揚げる 。【写真 2 】
⑤合わせ調味料を鍋に入れて沸騰させる。
⑥サバと野菜を交互に重ねて容器に入れ、⑤を入れる。【写真 3 】
冷蔵庫で約3~4時間冷やし、味をなじませる。

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副菜①
鶏と里芋の煮物
鶏むね肉・・・35g
里芋・・・60g
万能ねぎ・・・3g
顆粒だし・・・1g
醤油・・・6g
酒・・・5g
砂糖・・・3g
みりん・・・6g
水・・・50g
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①里芋は皮をむいて食べやすい大きさに切り、鍋に入れて里芋がつかるくらいの水を入れて火にかける。竹串が通るくらい茹で、水気を切っておく。
②鶏肉、万能ねぎも切っておく。
③鍋に里芋と調味料を入れ沸騰したら鶏肉を加えて煮汁が少なくなるまで煮る。
④ 盛り付け時に万能ねぎを添える。

 

 

副菜②
茹で野菜のサラダ
ブロッコリー・・・50g
かぼちゃ・・・8g
しめじ・・・3g
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①しめじ、ブロッコリー、かぼちゃ を 茹でる。
②お皿に盛りつける。

 

副菜(汁物)
木綿豆腐とわかめの味噌汁
木綿豆腐・・・20g
乾燥わかめ・・・2g
ねぎ・・・5g
顆粒だし・・・1g
みそ・・・12g

①木綿豆腐は食べやすい大きさに切る。
②鍋に水 と顆粒だしを入れ沸騰したら具材を加えて 1 分くらい煮る。
③火を止めてみそをときい れる。

 

牛乳・乳製品
低脂肪乳
低脂肪乳・・・200ml

 

 

果物
りんご・キウイフルーツ
りんご・・・50g
キウイフルーツ・・・40g
 

 

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳

 

第11回:瞬発力系スポーツの食事ポイント


2019 年 8月 

第11回:瞬発力系スポーツの食事ポイント 

 

 

 瞬発力系のスポーツは、筋力が必要になります。筋肉量を増やすには筋肉の材料となる栄養素を摂り、適切な筋肉トレーニングをおこなうことで筋力がアップします。柔道、レスリング、体操、陸上短距離などが挙げられます。
 栄養素のポイントは①筋肉の材料となる良質なたんぱく質を摂り②筋肉量増加の効果を高めるために炭水化物(糖質)を摂取してエネルギー源を確保し、③サポート役のビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、亜鉛も積極的に摂取します。

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【①良質なたんぱく質】について 

 良質なたんぱく質とは、必須アミノ酸※1の組成がよいものです。必須アミノ酸とは、体内で十分な量を合成することができないため、食事で摂る必要のあるアミノ酸です。肉類、魚類、卵類、大豆・大豆製品、牛乳・乳製品や穀類などの色々な食材に必須アミノ酸は含まれていますが、必須アミノ酸9種類の含有量のバランスは食材によって異なります。そこで必須アミノ酸をバランスよく含んでいる食材が筋肉の材料にもなる良質なたんぱく質となります。
 BCAA(分岐鎖アミノ酸)という言葉をどこかで見たこと、きいたことはありますか?筋肉の分解を抑制して、筋たんぱく質の合成を促進し、疲労回復を促すと言われています。このBCAAとはバリン、ロイシン、イソロイシンという3種類の必須アミノ酸の総称です。食品でこの3種類を多く含んでいる主なものは、鶏むね肉(皮なし)、マグロ(赤身)、豚ロース(脂身なし)、サバ、納豆です。
 たんぱく質の摂取量は一般成人であれば体重あたり0.8~1gです。体重50kgでは、
1日40g~50gです。
 たんぱく質は、マグロ(赤身)、うなぎ、鶏ささみ、鮭、豚もも、秋刀魚、木綿豆腐、プロセスチーズなどに多く含まれています。1日の中でも、1食の中でも偏りなく色々なたんぱく質を組み合わせて摂ることが重要です。

※1:私たちの身体のたんぱく質は20種類のアミノ酸から構成されており、9種類の必須アミノ酸と11種類の非必須アミノ酸に分類されている。

 

【②糖質】について
 筋肉を増やすためにはたんぱく質だけを多く摂ればよいというものではありません。効率よく筋肉を増加させるためには、ご飯、パン、麺類などの糖質量を十分摂取しておくことが重要です。運動中のエネルギー源を糖質から確保しておかなければ、体たんぱく質(私たちの身体の中のたんぱく質のこと)の分解が身体の中で促されて、筋肉を壊すことで運動に必要なエネルギー源を供給するように働きます。これでの運動の意味がなくなってしまいます。

 

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【③ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、亜鉛】について
 ビタミンB6はたんぱく質の代謝をサポートします。アミノ酸から別のアミノ酸を生成する反応にも補酵素として働き、筋たんぱく質の促進に貢献します。主な食材はニンニク、マグロ(赤身)、カツオ、サバ、レバーなどです。
 ビタミンCはたんぱく質の一種であるコラーゲン繊維の合成に必須の成分で不足するとコラーゲンが作られません。筋肉を構成している筋膜や腱もコラーゲン繊維が主成分となるため欠かせません。主な食材は、野菜・果物で特にアセロラ、キウイ、ブロッコリー、レモンなどに多く含まれています。
 ビタミンD、亜鉛どちらも筋たんぱく質の合成を促進します。ビタミンDは鮭、いわし、うなぎ、さんまなどに多く含まれています。また、食事からだけでなく日光照射で合成もできます。亜鉛は牡蠣、豚レバー、牛肉、卵黄などに多く含まれています。

  選手だけでなく一般の人が筋肉をつけたい、早く増やしたいと考えるとサプリメントでたんぱく質を意識的に多く摂る傾向がみられますが、まずは基本的な食事を見直すことが大切です。食事からでも十分なたんぱく質が摂取できます。
 サプリメントは食事を補うものです。消化・吸収の速度が早いメリットもあります。アスリートでは増量・減量時、合宿などで運動量が増加するとき、体調不良で十分な栄養素を確保できないとき、試合の合間で食べられないなど時と場合に応じて食事を補うものとして活躍しているのも事実です。
 サプリメントを利用する際は専門家に相談して、本当に必要なのか、必要な場合はどのようなものをどのくらい摂ればよいのかを考えて摂ることが大切です。

 

参考・新食品成分表、東京法令出版
  ・スポーツ栄養学、箸)寺田 新
  ・アスリートのための栄養・食事ガイド
  ・筋肉をつくる食事・栄養

 

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳

 

 

 

第10回:持久力系スポーツの献立例


2019 年 6月 

 

『TOKYO2020に向けて競技別の食事ポイントを知ろう!』

平成31年度の”臨海球技場スポーツ栄養学”のコーナーは、持久力系・瞬発力系・混合系スポーツの食事ポイントをご紹介いたします。

競技を体験するだけでない、競技の特性や食事の摂り方を知ることでその競技を身近に感じて選手を応援したいですね。

 

第10回:持久力系スポーツの献立例

 

 第9回では持久力系スポーツの栄養素のポイントをご紹介しました。今回は、ポイントとなる栄養素を取り入れた夕食の献立例をご紹介します。
1 日のエネルギー摂取量は約 2,500kcal の設定です。1 日約 2,500kcal を必要とする選手はトレーニング期の女性選手や減量中の男性選手です。
日本人の食事摂取基準※1で 1 日約 2,500kcal を必要とするのは、18~49 歳の身体活動レベルⅡの男性になります。1 日約 2,500kcal について朝食は約 750kcal、昼食は約750~1000kcal、夕食は約 1,000kcal としました。
※1:健康な個人または集団を対象として、国民の健康の保持・増進、生活習慣病の予防のために参照するエネルギー及び栄養素の摂取量の基準を示すもの

 

【写真1: 持久系スポーツの 夕食献立 例】

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カテゴリー
料理名
kcal
主食
玄米ご飯
413
主菜
豚のしそチーズ焼き
373
副菜①
あさりと切干大根の和え物
28
副菜②
小松菜のお浸し
11
副菜③
生野菜サラダ (ドレッシング含まず )
29
副菜 (汁物 )
玉ねぎとじゃがいもの味噌汁
56
牛乳・乳製品
低脂肪牛乳
92
果物
グレープフルーツ・キウイフルーツ
46
エネルギー
1,049kcal
たんぱく質
48.8g
脂質
26.8g
炭水化物
152.2g
7.7mg
ビタミン B₁
1.47mg
ビタミン B₂
0.83mg
ビタミンC
93mg

 

 糖質は主食の玄米ご飯で量を確保し、果物や汁物の具のじゃがいもでも摂れるようにしました。 玄米 ご飯は白米 よりビタミン B₁が多く含まれてい ます。
主菜は豚肉をつかいビタミンB₁の強化をはかり、汁物の具の玉ねぎはビタミンB₁の吸 収を高めてくれます 。
 あさりと切干大根の和え物・小松菜のお浸しには貧血予防に欠かせない鉄分が多く含まれています。貝類などに含まれる鉄は身体に吸収されにくいのでビタミン Cが豊富な果物としてグレープフルーツとキウイ フルーツ をあわせました。

※献立内容はあくまでも通常 練習中の夕食を想定してい ます。

 

 

【料理の作り方】
~分量は 1 人分です~

 

主食
玄米ご飯
玄米ご飯・・・250g
主菜
豚のしそチーズ焼き
豚ロース肉(脂身をとった状態のもの)・・・100g(約 4 枚)
しそ・・・2g(約 4 枚)
とろけるチーズ・・・15g
薄力粉・・・20g
オリーブオイル・・・5g

①豚ロース肉は脂身を包丁で取り除く。
②①に薄力粉をまぶす。
③②にしそとチーズをのせ、チーズがはみ出さないように肉を重ね【写真 2】、
 フライパンにオリーブオイルを入れて焼く【写真 3】。
 火力は中火~弱火にして、なるべくさわらないようにする。

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④片面に焼き色が付いたらひっくり返して弱火で蓋をして数分蒸し焼きにする。

副菜①
あさりと切干大根の和え物
あさり缶詰・・・10g
切干大根(干)・・・5g
濃口醤油・・・1.5g
刻みのり・・・0.1g

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※【写真 4】と【写真 5】の量で約 7 人分作れる。
栄養価は 1 人分の盛り付け量 30g で計算。

①切干大根をさっと洗って食べやすく切り、フライパンに 120ml の水とお好みで生姜のすりおろし(材料外)を入れる。
②フライパンに蓋をして 5~10 分弱火で煮る。
③あさり缶を入れて、水分をとばしながら煮る。
④最後に醤油で味を整え、盛り付け時に刻みのりをのせる。

副菜②
小松菜のお浸し
小松菜(茹で)・・・50g
めんつゆ(ストレート)・・・8g

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※1 束約 230g の小松菜を使用。
【写真 7】は茹でた後の重量。
栄養価は 1 人分の盛り付け量 50g で計算。
①小松菜を茹でて、水にとり、よく絞る。
②【写真 8】のように食べやすい大きさに切り、めんつゆを入れて浸す。

副菜③
生野菜サラダ
リーフレタス・・・15g
トマト・・・30g
コーン缶・・・15g
ブロッコリー・・・20g
まいたけ・・・20g

①ブロッコリーとまいたけを茹でる。
②それぞれ盛りつける。

副菜(汁物)
玉ねぎとじゃがいもの味噌汁
玉ねぎ・・・20g
じゃがいも・・・30g
顆粒だし・・・1g
みそ・・・12g

①玉ねぎ、じゃがいもは食べやすい大きさに切る。
②鍋に①を入れ沸騰したら顆粒だしを入れ、具材が柔らかくなるまで煮る。
③火を止めてみそをときいれる。

牛乳・乳製品
低脂肪牛乳
低脂肪牛乳・・・200ml
果物
グレープフルーツ・キウイフルーツ
グレープフルーツ・・・80g
キウイフルーツ・・・30g

 

 

 

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳

 

 

 

第9回:持久力系スポーツの食事ポイント


2019 年 4月 

 

『TOKYO2020に向けて競技別の食事ポイントを知ろう!』

平成31年度の”臨海球技場スポーツ栄養学”のコーナーは、持久力系・瞬発力系・混合系スポーツの食事ポイントをご紹介いたします。

競技を体験するだけでない、競技の特性や食事の摂り方を知ることでその競技を身近に感じて選手を応援したいですね。

 

第9回:持久力系スポーツの食事ポイント

 

 持久力系のスポーツは、ある強度の運動を長い時間継続することです。マラソン、クロスカントリースキー、スケートの長距離、水泳の長距離などが挙げられます。
 栄養素のポイントは①炭水化物(糖質)※1+脂質、②ビタミンB 群、③鉄+ビタミンCです。
※1:炭水化物は「糖質と食物繊維」のことを指します。食物繊維はエネルギー源にはなりません。

 

【①炭水化物(糖質)+脂質】について
 運動中の主なエネルギー源は炭水化物(糖質)と脂質です。糖質を食べると消化吸収されてブドウ糖(グルコースとも呼ばれる)となり血液中を流れていき、体内でエネルギー源として利用されます。また、体内に貯蔵できる糖質として「グリコーゲン」という状態で肝臓や筋肉に蓄えられます。グリコーゲンは必要時にブドウ糖としてすぐエネルギー源になりますが、グリコーゲンの貯蔵できる量が脂質に比べると少ないので脂質も適量摂ることが大切です。

 

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  持久力系スポーツの競技力向上のためには、運動前もしくが運動中に糖質を十分に摂取して、体内のグリコーゲン貯蔵量をできるだけ増やしておくことが重要です。
運動前にスポーツドリンクなどで糖質を摂るときの注意点としては、大量に摂取することは避けたいです。理由は、運動誘発性低血糖を防ぐためです。運動開始30 ~45 分ほど前に大量に飲んでしまうと運動開始と同時に血糖値が低下し、場合によっては低血糖症になることが報告させています。予防策としては大量に摂りすぎないこと、運動の約1 時間~1 時間半前に糖質を摂取することで血糖値の上昇が落ち着いてから運動を開始できること、運動の直前に摂取することで運動によってインスリンの分泌が抑えられます。また、血糖値の上昇度を示した指標でGI 値がありますが、GI 値が低い糖質を運動前に摂取することも有効だと考えられます。

 

【②ビタミンB 群】について
 糖質と脂質だけ摂っていれば運動中のエネルギー源をカバーできるわけではありません。身体を動かすためのエネルギー源を体内で作るときにはビタミンB 群が欠かせません。
 ビタミンB1 は玄米ごはん・豚ヒレ・大豆(乾)などに、ビタミンB2 は豚レバー、牛乳、ヨーグルト、納豆、卵、まいたけなどに多く含まれています。意識して摂ることが大切です。
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【③鉄+ビタミンC】について
 持久力系スポーツでは、鉄欠乏性貧血の選手が多くなる傾向にあります。事前に予防することも大切です。また、①の脂質についての補足にもなりますが、体脂肪がエネルギー源として利用させるにはそれを運んでくれる酸素が必要にもなります。そこで各細胞に届けるためには血液中のヘモグロビンが必要になります。ヘモグロビンをつくる栄養素は鉄になります。鉄を身体に効率よく摂りこむためにビタミンC が欠かせません。セットで摂ることを覚えておくとよいでしょう。
 鉄は鶏レバー、カツオ、小松菜、あさり、ひじきなどに多く含まれています。ビタミンCは野菜・果物・いも類に多く含まれています。酸味のあるものを食べると胃酸が分泌されて鉄も吸収されやすくなるので、果物は特に柑橘系の果物やキウイ、いちごなどを組み合わせるとよいでしょう。 

 

 

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参考)・新食品成分表、東京法令出版 ・スポーツ栄養学、箸)寺田 新

 

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳

 

 

 

第8回:海苔とスポーツ栄養


2019 年 1月 

江戸川区ゆかりの食品とスポーツ栄養

 

第8回:海苔とスポーツ栄養

 

 葛西では「葛西海苔」が名産でかつて海苔づくりが盛んにおこなわれていたそうです。
現在葛西駅周辺には海苔の製造会社や販売業者がいくつかあります。

 

 

1)海苔の種類と栄養素

 

 海苔は種類が豊富であおさ、あおのり、あまのり、あらめ、いわのり、えごのり、おごのり、かわのりがあります。私たちが普段おにぎりなどで食べる海苔は「あまのり」を加工したものが多く、あまのりの中でも「ほしのり」、「焼きのり」、「味付けのり」に分類されています。

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 海苔には体内でビタミン A に変わるβ―カロテンが豊富です。このほかに食物繊維、ビタミン C、ビタミン E などが含まれています。
β―カロテンですが、油と合わせると非常に吸収率が高くなる栄養素です。吸収率を考慮するときはサラダや油を多く使用するパスタなどにトッピングして食べることをお勧めします。

 

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2)海藻類の特徴

 

 海苔は海藻類に分類され、昆布、ひじき、わかめなどと同様カルシウムの含有量の多さは他の食品より多く、身体の生理機能を円滑にするために大切なミネラルも含まれています。海藻類に含まれるアルギン酸というものは、コレステロールの低下作用もあります。
 海苔を購入する際はスーパーなどで梱包されているものを手に取ることが多いかもしれません。専門店で「ほしのり」を選ぶ際は、香りがよく、色は濡れたような黒色でつやがあるものがおすすめです。火にあぶった時にわずかに緑色を呈した焼き色がついて、しかも色が長く保ったものが良品と言われています。

 海苔などの海藻類は副菜の仲間に分類されます。同様に野菜類、きのこ類、いも類、豆類の食品も副菜の仲間で食事ではサラダやスープ、おひたしなどの料理に多く含まれています。副菜は身体の調子を整えるために不可欠な食材になります。

 

 

3)海苔とスポーツ栄養

 

 海藻類はエネルギーが低いため、スポーツ選手に限らず減量している人はエネルギーを気にせず食べられ、ミネラルが補給できるので貴重な食材となります。また、カルシウムが豊富なので、骨や歯の材料としても重要です。スポーツ選手は怪我の予防のためにも必ず摂りたい食材です。成長期の子どもにも欠かせませんね。
 スポーツをしている方で注意したいのは、海藻類、生野菜やきのこ類は食物繊維が多く含まれているため、お腹にガスが溜まりやすくなります。個人差はありますが試合前などは摂りすぎに注意が必要ですね。

 海苔は一度にたくさんは食べられませんが、他の食品と同様、毎食バランスよく摂り入れていきたいですね。

 

 

参考)・新食品成分表、東京法令出版
   ・厚生労働省、食事バランスガイド

 

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳