大学生・社会人のスポーツ活動について


2020年 12月号

2021年   1月号

大学生・社会人のスポーツ活動について 

 

 

【大学生・社会人の食事の摂り方、注意点】
大学生または実業団に入ったら、一人暮らしをする人もいると思います。食事を作る大変さやありがたみを感じることもあるでしょう。毎日外食だと金銭的に厳しいことも考えられます。調理をしながら、上手にお惣菜などを利用して、自分の体調の整え方やどのようなものを食べたらよいのかを考えるよいきっかけになればいいですね。

栄養素はバランスよく摂取することを心がけます。年齢が上がるにつれて疲労がとれにくくなる、怪我が増えるなどの身体の不調、トラブルが増える傾向にあります。食生活の重要性を、身をもって感じることができるのではないでしょうか。

 

 

①偏りに注意する
自分で調理する場合、作れるもの、作りやすいものになりがちです。「またこのメニューか」とならないためにも食事日記をつけることをおすすめします。食材を箇条書きにするだけでもよいです。1週間記入したら、①同じ食品をチェック、②食べていないものを書き出して翌週に生かすことが大切です。写真を撮るのも手軽でよいですが、実際に書き出すことで頭が整理され、考えやすくなるでしょう。

 コラム12・1月号-1  

 

②どうする?アルコールとの付き合い
交流関係が広がり、アルコールを飲む機会が増える人もいると思います。今の時代、無理にお酒をすすめるということはなくなってきましたが、時には誘いを断ることや、初めから自分は飲まない意思を相手に伝えることも必要だと感じます。

 

 

アルコールを飲んでからすぐ運動する人は少ないと思います。しかし、練習後にアルコールを飲むことはあるかもしれません。運動量やアルコールの量にもよりますが、運動による脱水症状とアルコールによる脱水症状が一緒におこることが危険です。どうしても飲まなければいけないとわかっている日の運動前、運動中、運動後にはいつも以上に水分補給に気を配る必要があります。できるだけこまめに補給します。

ほかにも、①一気飲みをしないこと(ゆっくり飲む)、②夜は遅くまで飲まないこと、③一緒に食べるものを考えること、④お酒がストレス発散にならないよう解消法を見つけること、⑤毎日飲まないことです。

 ①一気飲みしないこと(ゆっくり飲むこと)は、空腹でいきなりアルコールを飲まないことでもあります。空腹時に大量に飲んでしまうと低血糖になり、昏睡状態になることもあります。

 ②夜は遅くまで飲まないように気を付けます。二日酔いのまま運動することも大変危険だからです。肝臓がアルコールを解毒している途中であり、脱水症状を起こす可能性もあります。

 ③一緒に食べるものを考えることは重要です。アルコールの代謝に必要なビタミンB群と、肝臓の働きを促進するたんぱく質を摂るように心がけます。

 ④お酒がストレス発散にならないようにすることは、一回のお酒の飲む量を増やさないためにも重要です。色々なストレス発散方法を考えてみましょう。

 ⑤毎日飲まないことで肝機能を低下させないようにします。

 

適度なアルコール摂取は食欲を増進させ、緊張をほぐすなどの良い面もあります。自分の競技や運動習慣でどのような目標があるかを再度確認して、アルコールとの付き合い方を考える必要がありますね。

コラム12・1月号-2  

 

 

【おすすめレシピ】
鮭のホイル焼き
鮭はEPA,DHAが豊富に含まれています。脳の神経細胞の膜を柔らかくすると言われており、気持ちを落ち着かせてくれる効果があります。鮭は癖がなく、1年中食べられる
調理しやすい食材となっています。好きな野菜やきのこ類で簡単に作れるのでおすすめです。

コラム12・1月号-3  

 

~材料~【1人分】
鮭…80~100g
人参…20g
えのきだけ…20g
☆醤油…小さじ2
☆酒・みりん…各小さじ1
☆バター…10g

~作り方~
1 アルミホイルの上に鮭、薄切りにした人参、ほぐしたえのきを並べる。
2 蒸し器または鍋にお湯を張り、蒸す準備をする。
3 Aの調味料をかけて、アルミホイルを閉じて約10分蒸していく。
(途中、様子を見る)

~栄養価~(鮭100gの場合)
エネルギー247kcal、たんぱく質24.0g、脂質12.3g、炭水化物8.2g

 

 

以上  

 

 

 

高校生のスポーツ活動について~後編~


2020年 10.11月号

高校生のスポーツ活動について 
~後編~

 

 

【高校生の食事の摂り方注意点】
 部活動が終わって、家に帰るまでの間、お腹が空いて何か食べているかもしれません。そのとき、スナック菓子や炭酸飲料を食べたり飲んだりしていませんか?お菓子や砂糖の入った甘い炭酸飲料はそれだけでお腹が満たされてしまい、その後の食事に影響があると考えられます。それは量の問題もありますし、部活動で動いた後に必要な栄養素が摂れなくなり質の問題にもなります。部活動が終わって、次の食事を摂るまでの間に何か食べるときは考えて摂るようにしたいですね。
例えば、炭酸飲料よりは、たんぱく質が補えるヨーグルトドリンクや牛乳、ビタミンCが豊富な100%オレンジジュースやグレープフルーツジュースがおすすめです。量もペットボトルの500mlではなく、パックジュースの200mlくらいが次の食事に支障がないと考えられます。
スナック菓子よりは、運動で使ったエネルギーの補給と壊れた筋肉を修復するために糖質とたんぱく質が一緒に摂れるおにぎり、サンドイッチや肉まんがおすすめです。タイミングよく補食を摂ることで、疲労回復促進に努めたいですね。

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【高校生はなかなか補食が摂りにくい?】 
 もしかしたら学校で食べることを規制されている場合があるかもしれません。身体を動かしている分、栄養を摂らなければ、怪我などに繋がり運動を続けることが難しくなることもあります。是非、顧問の先生にはタイミングのよい補食の重要性を理解していただき、練習だけに目をむけるのではなく、身体のこと全体で考えてほしいと思います。 

 

【おすすめレシピ】 

 柿と人参のサラダ
人参にはビタミンA、柿にはビタミンC、カッテージチーズにはたんぱく質が含まれています。免疫力アップにはこの3つの栄養素が欠かせません!

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~材料~【8~10人分】 
柿…100g
人参…120g
☆カッテージチーズ…40g
☆オリーブオイル…大さじ1
☆ポッカレモン…小さじ1

 

~作り方~
①人参の皮をむき、ピーラーで薄くして、塩小さじ1をもみこむ
②柿を薄く食べやすい大きさに切る
③①が5分ほどたったら、水で洗い絞る
④☆をよく混ぜ合わせる
⑤②~④を和えて、冷蔵庫で半日ほど冷やす

柿とは思えず、食感が愉しい1品です。鍋やおでんの箸休めによいかもしれません。
柿の程よい甘さがカッテージチーズと合いました。
アクセントはブラックペッパーやレモン汁をプラスしてみてはいかがでしょう。

~栄養価枚分~
エネルギー147kcal、たんぱく質3.8g、脂質6.4g、炭水化物17.5g

 

以上  

 

 

 

高校生のスポーツ活動について~前編~


2020年 8.9月号

高校生のスポーツ活動について 
~前編~

 

 

【高校生はどんな時期?】
 身体の筋肉や骨格が発達し、成長ホルモンの分泌もピークを迎えます。部活動では筋力トレーニングを本格的に始めるにはよい時期とされていますが、過度の負荷は怪我の原因となります。指導者の考え方、トレーニングメニューや練習方法も重要になります。卒業後の競技生活に大きくかかわる大切な3年間になります。 

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【セルフケアを考える】 
 身体は出来上がっていきますが、どの年代でも個人差はつきものです。他と比べるのではなく、自身の身体との向き合い方を多方面から考えられる時期でもあります。競技力向上のために、「練習」以外の「食事」、「休養」、「メンタル」についてのセルフケアの方法を指導者や仲間と一緒に考えることが大切です。
「食」に対しても、男女関係なく、食べるものに偏りがみられ、周りの影響を受けやすくなります。チームなどで意識を高めるような習慣や定期的な勉強会も有効だと考えます。

 

【おすすめレシピ】 

 いりこと桜エビのチーズせんべい
カルシウム豊富ないりこ・チーズとマグネシウム豊富な桜エビをフライパンでカリカリに
焼きました。カルシウムは骨の成分になりますが、身体に吸収されにくいので、マグネシウムやビタミンDと一緒に摂ることで骨への吸着が高まります。最強タックのせんべいです。いりこ、桜エビ、チーズの塩気があるので味付け不要。
親御さんもお酒と一緒にたのしめる一品となりました!

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~材料2枚分~
●桜エビ3.5g
●いりこ10g
●小麦粉小さじ1
●水小さじ1~2
●とろけるチーズ10g(お好み)
●油小さじ1

 

~作り方~
①桜エビといりこと小麦粉と水をボールに入れて混ぜる
②フライパンを熱して油を入れて、①を丸く平らになるように広げる
③分量の半分のチーズをのせる
④焼き色がついたらひっくり返し、残りのチーズをのせる
⑤チーズに焼き色がついたらまたひっくり返す
※チーズでいりこと桜エビをつなぎ合わせます

~栄養価2枚分~
エネルギー117kcal、たんぱく質11.2g、脂質6.4g、炭水化物2.4g、カルシウム354mg

 

以上  

 

 

 

小学生・中学生のスポーツ活動における スポーツと食事ポイント


2020年 6.7月号

小学生・中学生のスポーツ活動におけるスポーツと 食事ポイント
~後編~

 

 

【小学生・中学生に不足しがちな栄養素】
 「たんぱく質」・「カルシウム」・「鉄分」が不足しがちです。 

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 小学生は脳や神経系が著しく発達する時期なので、5大栄養素の糖質、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルを3度の食事でバランスよく食べる食習慣を身につけることが大切です。特に神経系の発達にはたんぱく質、カルシウム、鉄分などが必要です。カルシウム、鉄分は身体に吸収されにくいので多めに摂ることや吸収を良くしてくれる栄養素と合わせて食事に取り入れていきましょう。カルシウムの吸収を助けてくれる栄養素はビタミン D やマグネシウムです。ビタミン D は鮭、ウナギ、さんまなどに多く含まれます。マグネシウムは大豆製品、ごま、アーモンド、桜エビなどに多く含まれます。

 

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 個人差はあるものの小学生高学年から中学生になると、呼吸循環器系が発達し、持久力がつきやすい時期です。また、身長の伸びも著しいので、バランスよい食事+カルシウムやたんぱく質を摂り、骨を丈夫にします。鉄分も不足しがちで、鉄分の吸収を阻害する緑茶やコーヒーの摂取をなるべく控えましょう。 

 

【心の変化に対して保護者ができること】

この時期の理解と見守り、向き合えた時に食事からアプローチも。

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 特に中学生になると、自分の身体の変化に戸惑い、敏感になりがちです。その戸惑う心と身体のバランスがうまくとれず、もしかしたら自分で食事を制限することや、偏った食事をするかもしれません。そのような行動にはなにか理由があると考えられ、保護者としては食事のバランスなども気になりますが、時には見守ることも大切です。日頃からコミ ュニケーションをとっていても、この時期は心のバランスを保つのが難しいと考えられます。そこを理解した上で子どもと向き合えた際には、一緒に今の食事について話し合ってみるとよいでしょう。子どもの今の悩みや変化を聴くことにより、食事の内容を改善することで解決できることがあるかもしれません。例えば、肌荒れには脂質が多い食事または間食に偏っていないか、あるいはビタミン、ミネラルを含む野菜、果物、イモ類を食べていないか、などです。身体をつくっているのは、日々の食事です。食事の話がきっかけでお子さん自身がよい身体の変化を実感できるといいですね。 

【睡眠時間の確保が成長に繋がる】
深い眠りを作り成長ホルモンを出すために寝る前の環境整備をしましょう。

 

 

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 これまで成長ホルモンは夜の 10 時~12 時くらいに分泌されると言われてきましたが、寝てから2時間くらいで約 80%でるそうです。成長ホルモンは深い睡眠でなければ出ないので寝る前の環境も非常に大切です。寝る前には、室内をいつもの明かりよりひと段階おとし、脳に「寝る時間」をお知らせすることが大切です。また、就寝30分前はスマホ、テレビの使用を控えましょう。あとは、前編でも述べたように、できるだけ決まった時間に起きて、朝食を食べることをお勧めします。 

参考:睡眠学、宮崎総一郎

 

 

【おすすめレシピ】
 さつまいもの豆乳きな粉がけ
さつまいもはビタミン C と食物繊維を多く含み、排便をサポートしてくれます。 豆乳ときな粉でたんぱく質を補えます。簡単にできます!
成長期のお子さんのおやつにいかがですか?

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~材料2人分~
●さつまいも 200g
●バター8g
●きな粉大さじ 2
●調整豆乳 100cc

 

~作り方~
①さつまいもの皮をよく洗い、食べやすい大きさにきって水にさらす。
②水気をキッチンペーパーでふき取り、鍋に豆乳とさつまいもを入れて煮る。

 

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③ 汁気が少なくなってきたら、バターを入れて煮る。
④ 汁気がなくなったら火を止め、きな粉で和える。

※豆乳を完全に煮詰めず、お皿に盛りつけたあとできな粉をかけて食べても美味しいと思います!汁気があることで食べやすいと考えられます。

~栄養価1人分~
エネルギー224kcal、たんぱく質 5.3g、脂質 6.9g、炭水化物 36.1g、ビタミン C29mg

 

 

以上  

 

 

 

小学生・中学生のスポーツ活動における スポーツと食事ポイント


2020年 4.5月号

小学生・中学生のスポーツ活動におけるスポーツと 食事ポイント
~前編~

 

 

【小学生・中学生はどんな時期?】
 心身ともに発育・発達がとても著しい時です。 一つの競技に打ち込みすぎると、身体に大きな負担を与えてしまい、発育が阻害されることも考えられます。競技を上達させるという考え方よりも健全な発育・発達のためにできることを一番近くにいる保護者が実践して 見守って いくことが大切です。

【規則正しい食生活こそが今後の可能性をのばす】
 「できるだけ決まった時間に起きる」こと、「3食食べる」こと、「身体を動かす」こと、この3つができていれば 自然と眠くなり、十分な睡眠をとることに繫がります。 今日からすぐにできることは「できるだけ決まった時間に起きる」ことだと考えます。

 

 

生活習慣による普段の体調への影響について、睡眠時間と口内炎の発生率を掛け合わせた調査があります。(図1)

 スポーツをする子どもの全体の15.4 が「口のはじが切れたり口内炎がよくできる」と答えていました。

 このうち、睡眠時間が8 時間未満の場合、口内炎の出現率が全体平均よりも最も高くなる傾向が認められました。

別の全国調査によると、睡眠時間が 8 時間以上の場合、 8 時間未満の子どもと比較して、体力が高い傾向がみられると報告させています。 (引用:小・中学生のスポーツ栄養ガイド)

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 共働きの家庭が増えており、自身の体調管理も大変だと思いますが、まずはお子さんと一緒に起きる時間について話し合ってみてはいかがでしょうか?
 小学生 ・中学生での 規則正しい食生活は重要で 、保護者のサポートが欠かせません。 健全な発育・発達は規則正しい食生活の積み重ねです。心身ともに健康な状態で発育していくと何かをやってみたい、チャレンジしたいという気持ちが強くなります。当たり前になっている食 生活リズムをもう一度見直してみ ませんか?

 

 

【よく噛んで食べることの大切さ】
 子どもは一度に口に入れる量が多くなり、噛めずにすぐ飲み込むことが多いと思います。
内臓や消化器官が発達段階にあるため、消化がうまくできず排泄量が多くなることも見られます。いつも言い続けるのは大変ですが、 今のうちからよく噛んで食べることの大切さを伝えていきましょう。 適量を口の中にいれて、よく噛んで食べることが消化吸収能力を鍛えることにも繋がります。高校生や大学生になって一つの競技に打ち込み身体づくりをおこなう際にもこの消化吸収能力はとても重要です。どんな状況でも よく噛んで 食べられることは 身体づくりに欠かせません。 

 

 

【おすすめレシピ~かぼちゃムース~】
牛乳はたんぱく質とカルシウムが豊富に含まれています。
ゼラチンは関節の靭帯や粘膜を強くする働きや再生するサポートをします。成長期のお子さんにはぴったり。

 

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~材料 4 個分~
●かぼちゃ 200g
●牛乳 400ml
●砂糖 40g
●粉末ゼラチン 10g
●生クリーム 50ml
 

~作り方~
①かぼちゃは 1 2 ㎝くらいに揃えて切り、耐熱容器に入れてラップをかけて、 電子レンジで 600w 約 4 分加熱して柔らかくする。
②生クリームを角が立つまで泡立てておく。
③ ゼラチンは水 30ml で ふやかす 。
④①のかぼちゃを電子レンジから取り出したらフォークで細かく潰す。
⑤鍋に④と牛乳を加え、弱火でよくかき混ぜる。
⑥砂糖を3 回に分けて加え、③も加えてかき混ぜる。
⑦火を止めて、②を加えて切るようにして混ぜ合わせる。
⑧器に⑦を入れ、冷蔵庫で冷やす。

~栄養価~※写真のトッピングの生クリームは栄養価に含まれていません
エネルギー214kcal 、たんぱく質 6.7g 、脂質 9.6g 、炭水化物 25.4g 、カルシウム125mg

以上 

 

第14回: 混合系スポーツの献立 例


2020 年 2月

 

 

第14回:混合 系スポーツの献立例

 

 

 前回、 混合 系 スポーツ の栄養素のポイントをご紹介しました。今回は ポイントとなる栄養素を取り入れた 夕食の 献立例 をご紹介します。以下のエネルギー設定になっています。

 1 日のエネルギー摂取量は約 2,500kcal の設定です。1 日約 2,500kcal を必要とする選手はトレーニング期の女性選手や減量中の男性選手です。
日本人の食事摂取基準※1で 1 日約 2,500kcal を必要とするのは、18~49 歳の身体活動レベルⅡの男性になります。1 日約 2,500kcal について朝食は約 750kcal、昼食は約750~1000kcal、夕食は約 1,000kcal としました。

※1:健康な個人または集団を対象として、国民の健康の保持・増進、生活習慣病の予防のために参照するエネルギー及び栄養素の摂取量の基準を示すもの

 

 

【写真1:混合系スポーツの夕食献立 例】

 

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カテゴリー
料理名
kcal
主食
親子丼
735
主菜
 
 
副菜①
ひじきの煮物
39
副菜②
ピーマンのツナ和え
22
副菜 (汁物)
大根とハムの中華スープ
33
牛乳・乳製品
低脂肪牛乳
92
果物
みかん
46
エネルギー
1,172kcal
たんぱく質
48.2g
脂質
35.7g
炭水化物
159.5g
亜鉛
4.7mg
ビタミン C
106mg

 

 主食と主菜が同時に摂れる親子丼にしました。練習後で疲れている時や食欲があまりないときは汁気を多くすることで食べやすくなります。当たり負けしない身体を作るためにもたんぱく質が必要です。鶏肉、卵は良質なたんぱく質です。他のたんぱく質源としてツナやハムを使いました。
 鉄分補給のため、ひじきの煮物にしました。かぼちゃのサラダにもレーズンを入れました。ビタミン D はナッツ類に豊富に含まれています。小腹がすいたときにもお勧めです。
みかんはビタミンCが多く含まれています。今の時期、風邪予防としても欠かせません。

※献立内容はあくまでも通常練習中の夕食を想定しています。

 

 

【料理の作り方】

 

主食・主菜
親子丼(1人前)
白飯 ・・・ 250g
鶏もも肉 ・・・ 100 g
玉ねぎ ・・・ 3 0g
小葱 ・・・ 3 g
卵 ・・・ 50 g
合わせ調味料
水・・・100cc
醤油・・・12cc
酢・・・50cc
酒・・・25cc
みりん・・・6cc
酒 ・・・ 5 ㏄
だし粉末 ・・・ 1 g
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① 鶏肉を食べやすい大きさに切る 。
②玉ねぎ、小葱を切る。
③合わせ調味料を鍋に入れて沸騰させる。
④鶏肉、玉ねぎを入れる。
⑤煮汁が少なくなってきて火が通ったら、溶きほぐした卵を流し入れて蓋をする。
⑥小葱をかけて出来上がり。

 

副菜①
ひじきの煮物(約6人前)
ひじき(乾)・・・ 11 g
しいたけ・・・25g
人参・・・100g
油揚げ・・・20g
顆粒だし ・・・ 2 g
醤油・・・ 18 ㏄
酒・・・ 15 ㏄
砂糖・・・ 4.5 ㏄
油 ・・・ 5cc
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①乾燥ひじきはもどしておく。しいたけ、人参、油揚げは食べやすい大きさに切る。
② フライパンに油を入れて、まず人参を炒める。その次に残りの材料を炒める。
③ 調味料を入れて、落とし蓋をして弱火で煮る。
④ 汁気がなくなったら出来上がり。

 

 

副菜②
ピーマンのツナ和え 約 3 人前
ピーマン ・・・ 30 g
ツナ缶、ライトフレーク ・・・ 80 g
醤油 ・・・ 6cc
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①ピーマン、パプリカを食べやすい大きさに切る。
②フライパンにツナ缶を入れ、炒める。
③①も入れて炒め、醤油で味を整える。

 

副菜③
かぼちゃのレーズンサラダ 約 3 人前
かぼちゃ ・・・ 100 g
干ぶどう ・・・ 30 g
砂糖 ・・・ 15 g
マヨネーズ ・・・ 30g
アーモンド・・・ 15 g

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①かぼちゃを2 センチくらいの角切りにして、深めの耐熱皿に入れ、大さじ1の水をふりかけ、電子レンジに 600W4~5 分かける。
②かぼちゃが柔らかくなったら、すぐにつぶして、砂糖を加え、混ぜる。
③冷蔵庫で冷ます。アーモンドを細かく切っておく。
④かぼちゃが冷めたら、マヨネーズ、干しぶどう、アーモンドを入れて混ぜ合わせる。

副菜(汁物)
大根とハムの中華スープ 約 3 人前
大根 ・・・ 100 g
ツナ缶、ライトフレーク ・・・ 80 g
ハム ・・・ 40 g
ごま ・・・ 1 g
中華だし ・・・ 2g
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①大根、ハム は食べやすい大きさに切る。
②鍋に水と大根を入れて柔らかくなったら、中華だしを入れ、最後にハムを加えて火を止める。
③ ごまをかけて出来上がり。

牛乳・乳製品
低脂肪乳
低脂肪乳・・・200ml

 

 

果物
みかん
みかん・・・1個100g

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳

第13回:混合系スポーツの食事ポイント


2019 年12 月

第13回:混合系スポーツの食事ポイント

 

 

 混合系のスポーツは、全力で走る瞬発力と筋力を必要とするプレーや道具を使い長時間動き続ける持久力が必要になります。多くのスポーツが当てはまりますが、主な競技はサッカー、バスケットボール、野球、テニス、卓球などが挙げられます。
 栄養素のポイントは第1・2回の持久力系のポイントと第3・4回の瞬発力系のポイントの両方を上手く取り入れることです。特に糖質、ビタミンB 群、鉄、たんぱく質が重要です。さらに球技種目のバスケットボールやサッカーでは相手との接触が多くなります。
接触の衝撃に耐えられる当たり負けしない丈夫な骨格と筋肉、そして柔軟で強い靭帯が必要とされます。たんぱく質、カルシウム、ビタミンC も積極的に摂取します。

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当たり負けしない丈夫な骨格と筋肉

骨を丈夫にするためにはたんぱく質が重要です。たんぱく質を摂った上で、骨の成分であるカルシウムを乳製品や小魚、海藻から摂ります。カルシウムはそれだけで摂るより、サポート役のビタミンD やマグネシウムを一緒に摂ることで骨への吸着が高まり太くて丈夫な骨が作られます。ビタミンD は鮭やウナギに、マグネシウムは豆類や海藻類に多く含まれます。また、ビタミンK を一緒に摂ると、骨からカルシウムが排泄されるのを防ぐ働きがあります。ビタミンK は納豆やにらに多く含まれます。

 

 

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柔軟で強い靭帯
靭帯を強くして、修復するためにはコラーゲンやコンドロイチン、グルコサミンを摂るようにします。コラーゲンはなんこつや魚の皮、鶏手羽先に多く含まれています。煮物にすると煮汁にコラーゲンが溶けだすので残さず食べるとよいでしょう。グルコサミンは軟骨を作る 役割があります 。コンドロイチンは軟骨が分解されるのを抑える 役割があります 。オクラや山芋など に 多く含まれます。

 

参考・新食品成分表、東京法令出版
  ・スポーツ栄養学、箸)寺田 新
  ・アスリートのための栄養・食事ガイド

 

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳

 

 

 

第12回:瞬発力系スポーツの献立例


2019 年 10月

 

 

第12回:瞬発力系スポーツの献立例

 

 

 第11回では瞬発力系スポーツの栄養素のポイントをご紹介しました。今回はポイントとなる栄養素を取り入れた夕食の献立例をご紹介します。
第10回と同様、以下のエネルギー設定になっています。

 

 1 日のエネルギー摂取量は約 2,500kcal の設定です。1 日約 2,500kcal を必要とする選手はトレーニング期の女性選手や減量中の男性選手です。
日本人の食事摂取基準※1で 1 日約 2,500kcal を必要とするのは、18~49 歳の身体活動レベルⅡの男性になります。1 日約 2,500kcal について朝食は約 750kcal、昼食は約750~1000kcal、夕食は約 1,000kcal としました。

※1:健康な個人または集団を対象として、国民の健康の保持・増進、生活習慣病の予防のために参照するエネルギー及び栄養素の摂取量の基準を示すもの

 

 

【写真1: 瞬発力 系スポーツの 夕食献立 例】

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カテゴリー
料理名
kcal
主食
ご飯
420
主菜
サバの南蛮漬け
323
副菜①
鶏と里芋の煮物
113
副菜②
茹で野菜サラダ(ドレッシング含まず)
61
副菜 (汁物 )
木綿豆腐とわかめの味噌汁
44
牛乳・乳製品
低脂肪牛乳
92
果物
りんご・キウイフルーツ
48
エネルギー
1,101kcal
たんぱく質
50.4g
脂質
20.8g
炭水化物
173.3g
亜鉛
4.7mg
ビタミン D
10.6mg
ビタミン C
106mg 

 

 良質なたんぱく質を摂取するために主菜はサバ、副菜には鶏むね肉を使いました。サバの南蛮漬けは玉ねぎ、人参といった野菜も同時に摂取できます。味噌汁の具もたんぱく質の 豊富な木綿豆腐を使用しました。
糖質は白米をしっかりと 250g摂り、副菜の里芋とかぼちゃからも補えるようにしました。ビタミン Cは野菜、果物、イモ類に多く含まれています。 キウイフルーツはビタミンCが豊富に含まれています。 瞬発力系の献立に関わらずスポーツをしている人は特に意識して摂りたいですね。

※献立内容はあくまでも通常練習中の夕食を想定してい ます。

 

 

【料理の作り方】
~分量は 1 人分です~

 

主食
ご飯
白飯・・・250g

主菜
サバの南蛮漬け
サバ・・・90g(1切れ25~30g)
玉ねぎ・・・20g
人参・・・20g
ピーマン・・・10g
揚げ油・・・適量
合わせ調味料(2人分)
水・・・100cc
醤油・・・50cc
酢・・・50cc
酒・・・25cc
みりん・・・25cc
砂糖・・・50cc
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① サバを食べやすい大きさに切る。
②野菜を千切りに切る。
③① に薄力粉をまぶす。
④③を 油で揚げる 。【写真 2 】
⑤合わせ調味料を鍋に入れて沸騰させる。
⑥サバと野菜を交互に重ねて容器に入れ、⑤を入れる。【写真 3 】
冷蔵庫で約3~4時間冷やし、味をなじませる。

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副菜①
鶏と里芋の煮物
鶏むね肉・・・35g
里芋・・・60g
万能ねぎ・・・3g
顆粒だし・・・1g
醤油・・・6g
酒・・・5g
砂糖・・・3g
みりん・・・6g
水・・・50g
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①里芋は皮をむいて食べやすい大きさに切り、鍋に入れて里芋がつかるくらいの水を入れて火にかける。竹串が通るくらい茹で、水気を切っておく。
②鶏肉、万能ねぎも切っておく。
③鍋に里芋と調味料を入れ沸騰したら鶏肉を加えて煮汁が少なくなるまで煮る。
④ 盛り付け時に万能ねぎを添える。

 

 

副菜②
茹で野菜のサラダ
ブロッコリー・・・50g
かぼちゃ・・・8g
しめじ・・・3g
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①しめじ、ブロッコリー、かぼちゃ を 茹でる。
②お皿に盛りつける。

 

副菜(汁物)
木綿豆腐とわかめの味噌汁
木綿豆腐・・・20g
乾燥わかめ・・・2g
ねぎ・・・5g
顆粒だし・・・1g
みそ・・・12g

①木綿豆腐は食べやすい大きさに切る。
②鍋に水 と顆粒だしを入れ沸騰したら具材を加えて 1 分くらい煮る。
③火を止めてみそをときい れる。

 

牛乳・乳製品
低脂肪乳
低脂肪乳・・・200ml

 

 

果物
りんご・キウイフルーツ
りんご・・・50g
キウイフルーツ・・・40g
 

 

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳

 

第11回:瞬発力系スポーツの食事ポイント


2019 年 8月 

第11回:瞬発力系スポーツの食事ポイント 

 

 

 瞬発力系のスポーツは、筋力が必要になります。筋肉量を増やすには筋肉の材料となる栄養素を摂り、適切な筋肉トレーニングをおこなうことで筋力がアップします。柔道、レスリング、体操、陸上短距離などが挙げられます。
 栄養素のポイントは①筋肉の材料となる良質なたんぱく質を摂り②筋肉量増加の効果を高めるために炭水化物(糖質)を摂取してエネルギー源を確保し、③サポート役のビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、亜鉛も積極的に摂取します。

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【①良質なたんぱく質】について 

 良質なたんぱく質とは、必須アミノ酸※1の組成がよいものです。必須アミノ酸とは、体内で十分な量を合成することができないため、食事で摂る必要のあるアミノ酸です。肉類、魚類、卵類、大豆・大豆製品、牛乳・乳製品や穀類などの色々な食材に必須アミノ酸は含まれていますが、必須アミノ酸9種類の含有量のバランスは食材によって異なります。そこで必須アミノ酸をバランスよく含んでいる食材が筋肉の材料にもなる良質なたんぱく質となります。
 BCAA(分岐鎖アミノ酸)という言葉をどこかで見たこと、きいたことはありますか?筋肉の分解を抑制して、筋たんぱく質の合成を促進し、疲労回復を促すと言われています。このBCAAとはバリン、ロイシン、イソロイシンという3種類の必須アミノ酸の総称です。食品でこの3種類を多く含んでいる主なものは、鶏むね肉(皮なし)、マグロ(赤身)、豚ロース(脂身なし)、サバ、納豆です。
 たんぱく質の摂取量は一般成人であれば体重あたり0.8~1gです。体重50kgでは、
1日40g~50gです。
 たんぱく質は、マグロ(赤身)、うなぎ、鶏ささみ、鮭、豚もも、秋刀魚、木綿豆腐、プロセスチーズなどに多く含まれています。1日の中でも、1食の中でも偏りなく色々なたんぱく質を組み合わせて摂ることが重要です。

※1:私たちの身体のたんぱく質は20種類のアミノ酸から構成されており、9種類の必須アミノ酸と11種類の非必須アミノ酸に分類されている。

 

【②糖質】について
 筋肉を増やすためにはたんぱく質だけを多く摂ればよいというものではありません。効率よく筋肉を増加させるためには、ご飯、パン、麺類などの糖質量を十分摂取しておくことが重要です。運動中のエネルギー源を糖質から確保しておかなければ、体たんぱく質(私たちの身体の中のたんぱく質のこと)の分解が身体の中で促されて、筋肉を壊すことで運動に必要なエネルギー源を供給するように働きます。これでの運動の意味がなくなってしまいます。

 

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【③ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、亜鉛】について
 ビタミンB6はたんぱく質の代謝をサポートします。アミノ酸から別のアミノ酸を生成する反応にも補酵素として働き、筋たんぱく質の促進に貢献します。主な食材はニンニク、マグロ(赤身)、カツオ、サバ、レバーなどです。
 ビタミンCはたんぱく質の一種であるコラーゲン繊維の合成に必須の成分で不足するとコラーゲンが作られません。筋肉を構成している筋膜や腱もコラーゲン繊維が主成分となるため欠かせません。主な食材は、野菜・果物で特にアセロラ、キウイ、ブロッコリー、レモンなどに多く含まれています。
 ビタミンD、亜鉛どちらも筋たんぱく質の合成を促進します。ビタミンDは鮭、いわし、うなぎ、さんまなどに多く含まれています。また、食事からだけでなく日光照射で合成もできます。亜鉛は牡蠣、豚レバー、牛肉、卵黄などに多く含まれています。

  選手だけでなく一般の人が筋肉をつけたい、早く増やしたいと考えるとサプリメントでたんぱく質を意識的に多く摂る傾向がみられますが、まずは基本的な食事を見直すことが大切です。食事からでも十分なたんぱく質が摂取できます。
 サプリメントは食事を補うものです。消化・吸収の速度が早いメリットもあります。アスリートでは増量・減量時、合宿などで運動量が増加するとき、体調不良で十分な栄養素を確保できないとき、試合の合間で食べられないなど時と場合に応じて食事を補うものとして活躍しているのも事実です。
 サプリメントを利用する際は専門家に相談して、本当に必要なのか、必要な場合はどのようなものをどのくらい摂ればよいのかを考えて摂ることが大切です。

 

参考・新食品成分表、東京法令出版
  ・スポーツ栄養学、箸)寺田 新
  ・アスリートのための栄養・食事ガイド
  ・筋肉をつくる食事・栄養

 

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳

 

 

 

第10回:持久力系スポーツの献立例


2019 年 6月 

 

『TOKYO2020に向けて競技別の食事ポイントを知ろう!』

平成31年度の”臨海球技場スポーツ栄養学”のコーナーは、持久力系・瞬発力系・混合系スポーツの食事ポイントをご紹介いたします。

競技を体験するだけでない、競技の特性や食事の摂り方を知ることでその競技を身近に感じて選手を応援したいですね。

 

第10回:持久力系スポーツの献立例

 

 第9回では持久力系スポーツの栄養素のポイントをご紹介しました。今回は、ポイントとなる栄養素を取り入れた夕食の献立例をご紹介します。
1 日のエネルギー摂取量は約 2,500kcal の設定です。1 日約 2,500kcal を必要とする選手はトレーニング期の女性選手や減量中の男性選手です。
日本人の食事摂取基準※1で 1 日約 2,500kcal を必要とするのは、18~49 歳の身体活動レベルⅡの男性になります。1 日約 2,500kcal について朝食は約 750kcal、昼食は約750~1000kcal、夕食は約 1,000kcal としました。
※1:健康な個人または集団を対象として、国民の健康の保持・増進、生活習慣病の予防のために参照するエネルギー及び栄養素の摂取量の基準を示すもの

 

【写真1: 持久系スポーツの 夕食献立 例】

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カテゴリー
料理名
kcal
主食
玄米ご飯
413
主菜
豚のしそチーズ焼き
373
副菜①
あさりと切干大根の和え物
28
副菜②
小松菜のお浸し
11
副菜③
生野菜サラダ (ドレッシング含まず )
29
副菜 (汁物 )
玉ねぎとじゃがいもの味噌汁
56
牛乳・乳製品
低脂肪牛乳
92
果物
グレープフルーツ・キウイフルーツ
46
エネルギー
1,049kcal
たんぱく質
48.8g
脂質
26.8g
炭水化物
152.2g
7.7mg
ビタミン B₁
1.47mg
ビタミン B₂
0.83mg
ビタミンC
93mg

 

 糖質は主食の玄米ご飯で量を確保し、果物や汁物の具のじゃがいもでも摂れるようにしました。 玄米 ご飯は白米 よりビタミン B₁が多く含まれてい ます。
主菜は豚肉をつかいビタミンB₁の強化をはかり、汁物の具の玉ねぎはビタミンB₁の吸 収を高めてくれます 。
 あさりと切干大根の和え物・小松菜のお浸しには貧血予防に欠かせない鉄分が多く含まれています。貝類などに含まれる鉄は身体に吸収されにくいのでビタミン Cが豊富な果物としてグレープフルーツとキウイ フルーツ をあわせました。

※献立内容はあくまでも通常 練習中の夕食を想定してい ます。

 

 

【料理の作り方】
~分量は 1 人分です~

 

主食
玄米ご飯
玄米ご飯・・・250g
主菜
豚のしそチーズ焼き
豚ロース肉(脂身をとった状態のもの)・・・100g(約 4 枚)
しそ・・・2g(約 4 枚)
とろけるチーズ・・・15g
薄力粉・・・20g
オリーブオイル・・・5g

①豚ロース肉は脂身を包丁で取り除く。
②①に薄力粉をまぶす。
③②にしそとチーズをのせ、チーズがはみ出さないように肉を重ね【写真 2】、
 フライパンにオリーブオイルを入れて焼く【写真 3】。
 火力は中火~弱火にして、なるべくさわらないようにする。

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④片面に焼き色が付いたらひっくり返して弱火で蓋をして数分蒸し焼きにする。

副菜①
あさりと切干大根の和え物
あさり缶詰・・・10g
切干大根(干)・・・5g
濃口醤油・・・1.5g
刻みのり・・・0.1g

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※【写真 4】と【写真 5】の量で約 7 人分作れる。
栄養価は 1 人分の盛り付け量 30g で計算。

①切干大根をさっと洗って食べやすく切り、フライパンに 120ml の水とお好みで生姜のすりおろし(材料外)を入れる。
②フライパンに蓋をして 5~10 分弱火で煮る。
③あさり缶を入れて、水分をとばしながら煮る。
④最後に醤油で味を整え、盛り付け時に刻みのりをのせる。

副菜②
小松菜のお浸し
小松菜(茹で)・・・50g
めんつゆ(ストレート)・・・8g

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※1 束約 230g の小松菜を使用。
【写真 7】は茹でた後の重量。
栄養価は 1 人分の盛り付け量 50g で計算。
①小松菜を茹でて、水にとり、よく絞る。
②【写真 8】のように食べやすい大きさに切り、めんつゆを入れて浸す。

副菜③
生野菜サラダ
リーフレタス・・・15g
トマト・・・30g
コーン缶・・・15g
ブロッコリー・・・20g
まいたけ・・・20g

①ブロッコリーとまいたけを茹でる。
②それぞれ盛りつける。

副菜(汁物)
玉ねぎとじゃがいもの味噌汁
玉ねぎ・・・20g
じゃがいも・・・30g
顆粒だし・・・1g
みそ・・・12g

①玉ねぎ、じゃがいもは食べやすい大きさに切る。
②鍋に①を入れ沸騰したら顆粒だしを入れ、具材が柔らかくなるまで煮る。
③火を止めてみそをときいれる。

牛乳・乳製品
低脂肪牛乳
低脂肪牛乳・・・200ml
果物
グレープフルーツ・キウイフルーツ
グレープフルーツ・・・80g
キウイフルーツ・・・30g

 

 

 

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳

 

 

 

第9回:持久力系スポーツの食事ポイント


2019 年 4月 

 

『TOKYO2020に向けて競技別の食事ポイントを知ろう!』

平成31年度の”臨海球技場スポーツ栄養学”のコーナーは、持久力系・瞬発力系・混合系スポーツの食事ポイントをご紹介いたします。

競技を体験するだけでない、競技の特性や食事の摂り方を知ることでその競技を身近に感じて選手を応援したいですね。

 

第9回:持久力系スポーツの食事ポイント

 

 持久力系のスポーツは、ある強度の運動を長い時間継続することです。マラソン、クロスカントリースキー、スケートの長距離、水泳の長距離などが挙げられます。
 栄養素のポイントは①炭水化物(糖質)※1+脂質、②ビタミンB 群、③鉄+ビタミンCです。
※1:炭水化物は「糖質と食物繊維」のことを指します。食物繊維はエネルギー源にはなりません。

 

【①炭水化物(糖質)+脂質】について
 運動中の主なエネルギー源は炭水化物(糖質)と脂質です。糖質を食べると消化吸収されてブドウ糖(グルコースとも呼ばれる)となり血液中を流れていき、体内でエネルギー源として利用されます。また、体内に貯蔵できる糖質として「グリコーゲン」という状態で肝臓や筋肉に蓄えられます。グリコーゲンは必要時にブドウ糖としてすぐエネルギー源になりますが、グリコーゲンの貯蔵できる量が脂質に比べると少ないので脂質も適量摂ることが大切です。

 

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  持久力系スポーツの競技力向上のためには、運動前もしくが運動中に糖質を十分に摂取して、体内のグリコーゲン貯蔵量をできるだけ増やしておくことが重要です。
運動前にスポーツドリンクなどで糖質を摂るときの注意点としては、大量に摂取することは避けたいです。理由は、運動誘発性低血糖を防ぐためです。運動開始30 ~45 分ほど前に大量に飲んでしまうと運動開始と同時に血糖値が低下し、場合によっては低血糖症になることが報告させています。予防策としては大量に摂りすぎないこと、運動の約1 時間~1 時間半前に糖質を摂取することで血糖値の上昇が落ち着いてから運動を開始できること、運動の直前に摂取することで運動によってインスリンの分泌が抑えられます。また、血糖値の上昇度を示した指標でGI 値がありますが、GI 値が低い糖質を運動前に摂取することも有効だと考えられます。

 

【②ビタミンB 群】について
 糖質と脂質だけ摂っていれば運動中のエネルギー源をカバーできるわけではありません。身体を動かすためのエネルギー源を体内で作るときにはビタミンB 群が欠かせません。
 ビタミンB1 は玄米ごはん・豚ヒレ・大豆(乾)などに、ビタミンB2 は豚レバー、牛乳、ヨーグルト、納豆、卵、まいたけなどに多く含まれています。意識して摂ることが大切です。
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【③鉄+ビタミンC】について
 持久力系スポーツでは、鉄欠乏性貧血の選手が多くなる傾向にあります。事前に予防することも大切です。また、①の脂質についての補足にもなりますが、体脂肪がエネルギー源として利用させるにはそれを運んでくれる酸素が必要にもなります。そこで各細胞に届けるためには血液中のヘモグロビンが必要になります。ヘモグロビンをつくる栄養素は鉄になります。鉄を身体に効率よく摂りこむためにビタミンC が欠かせません。セットで摂ることを覚えておくとよいでしょう。
 鉄は鶏レバー、カツオ、小松菜、あさり、ひじきなどに多く含まれています。ビタミンCは野菜・果物・いも類に多く含まれています。酸味のあるものを食べると胃酸が分泌されて鉄も吸収されやすくなるので、果物は特に柑橘系の果物やキウイ、いちごなどを組み合わせるとよいでしょう。 

 

 

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参考)・新食品成分表、東京法令出版 ・スポーツ栄養学、箸)寺田 新

 

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳

 

 

 

第8回:海苔とスポーツ栄養


2019 年 1月 

江戸川区ゆかりの食品とスポーツ栄養

 

第8回:海苔とスポーツ栄養

 

 葛西では「葛西海苔」が名産でかつて海苔づくりが盛んにおこなわれていたそうです。
現在葛西駅周辺には海苔の製造会社や販売業者がいくつかあります。

 

 

1)海苔の種類と栄養素

 

 海苔は種類が豊富であおさ、あおのり、あまのり、あらめ、いわのり、えごのり、おごのり、かわのりがあります。私たちが普段おにぎりなどで食べる海苔は「あまのり」を加工したものが多く、あまのりの中でも「ほしのり」、「焼きのり」、「味付けのり」に分類されています。

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 海苔には体内でビタミン A に変わるβ―カロテンが豊富です。このほかに食物繊維、ビタミン C、ビタミン E などが含まれています。
β―カロテンですが、油と合わせると非常に吸収率が高くなる栄養素です。吸収率を考慮するときはサラダや油を多く使用するパスタなどにトッピングして食べることをお勧めします。

 

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2)海藻類の特徴

 

 海苔は海藻類に分類され、昆布、ひじき、わかめなどと同様カルシウムの含有量の多さは他の食品より多く、身体の生理機能を円滑にするために大切なミネラルも含まれています。海藻類に含まれるアルギン酸というものは、コレステロールの低下作用もあります。
 海苔を購入する際はスーパーなどで梱包されているものを手に取ることが多いかもしれません。専門店で「ほしのり」を選ぶ際は、香りがよく、色は濡れたような黒色でつやがあるものがおすすめです。火にあぶった時にわずかに緑色を呈した焼き色がついて、しかも色が長く保ったものが良品と言われています。

 海苔などの海藻類は副菜の仲間に分類されます。同様に野菜類、きのこ類、いも類、豆類の食品も副菜の仲間で食事ではサラダやスープ、おひたしなどの料理に多く含まれています。副菜は身体の調子を整えるために不可欠な食材になります。

 

 

3)海苔とスポーツ栄養

 

 海藻類はエネルギーが低いため、スポーツ選手に限らず減量している人はエネルギーを気にせず食べられ、ミネラルが補給できるので貴重な食材となります。また、カルシウムが豊富なので、骨や歯の材料としても重要です。スポーツ選手は怪我の予防のためにも必ず摂りたい食材です。成長期の子どもにも欠かせませんね。
 スポーツをしている方で注意したいのは、海藻類、生野菜やきのこ類は食物繊維が多く含まれているため、お腹にガスが溜まりやすくなります。個人差はありますが試合前などは摂りすぎに注意が必要ですね。

 海苔は一度にたくさんは食べられませんが、他の食品と同様、毎食バランスよく摂り入れていきたいですね。

 

 

参考)・新食品成分表、東京法令出版
   ・厚生労働省、食事バランスガイド

 

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳

 

 

 

第7回:小松菜とスポーツ栄養


2018 年 9月

江戸川区ゆかりの食品とスポーツ栄養

 

第 7 回:小松菜とスポーツ栄養

 

 江戸川区は小松菜の生産量東京都第 1 位で全国でも屈指の生産量を誇っています。江戸川区のホームページではそんな小松菜の魅力をたくさん紹介しています。小松菜の名前の 由来や小松菜商品、小松菜レシピやイベント情報など。
江戸川区の農産を応援するキャラ クターのえどちゃんは小松菜をイメージしたキャラクターとして活躍しています。今回は、小松菜の栄養の特徴とスポーツする方にとって欠かせない栄養素である点をご紹介いたし ます。

 

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1)小松菜について

 

 小松菜は緑黄色野菜で抗酸化作用のあるβ―カロテン、ビタミン C、E がバランスよく含まれた野菜です。しかも野菜の中でもカルシウムの含有量はトップクラス。抗酸化作用があるため、細胞の老化やがんの発症を予防すると言われます。

写真は江戸川区の小松菜です。

 

 

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2)緑黄色野菜の特徴

 

 小松菜の他に、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草などがあります。小松菜と同様にβ―カロテン、ビタミン C、カルシウム、鉄などビタミンやミネラルのほか、食物繊維が豊富に含まれています。緑、黄色が鮮やかな野菜はすべて緑黄色野菜と思いがちですが、実際は見た目の色ではなく、含まれているβ―カロテンの量が関係しており、100g中のβ―カロテンが 600μg(マイクログラム)以上のものを緑黄色野菜とよんでいます。
β―カロテンの特徴として体内でビタミンAというものに変わります。それは、目の健康、皮膚や粘膜の生成などに関わっている大切な栄養素になります。

 

 

3)小松菜とスポーツ栄養

 

 スポーツをしている、していないに関わらず、野菜を摂取することは必要なビタミン、ミネラルを取り入れ、身体の調子を整える役割があります。スポーツをしている人は運動量が多いことに加え、発汗量も多くそこから栄養素が流れ出ているとも言われますし、摂取しなければならない栄養素が一般の人に比べて多くなります。野菜には小松菜や人参などの緑黄色野菜ときゅうりやレタスなどの淡色野菜があります。どちらも必要ですのでバランスよく摂ることが理想です。運動強度が高くなればなるほど、疲労により食欲が落ちる、噛むこと自体疲れるといったことがあります。そんなときは、野菜であれば淡色野菜よりは栄養密度の濃い緑黄色野菜を勧めます。
緑黄色野菜に含まれるβ―カロテンは油脂に溶け込むと体内に吸収されやすくなる特徴があるので、煮物やスープにする際も軽く炒めてから煮ると効率よく栄養素が摂取できます。
小松菜を上手に取り入れて、身体の調子を整えていきたいですね。

 

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳

 

 

第6回:小麦粉とスポーツ栄養


2018 年 6 月

江戸川区ゆかりの食品とスポーツ栄養

 

第 6 回:小麦粉とスポーツ栄養

 

 江戸川区の名産の一つにくずもちがあります。くずもちと言えば葛粉を原料として作っていると考えますが、江戸川区で作られているくずもちは小麦でんぷんを主材料にして作られています。今回は、小麦粉の種類やその特性をスポーツ栄養においてどのように活用できるかをお伝えします。

 

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1)小麦粉について

 

 小麦粉の特徴は水を加えると、たんぱく質であるグルテンの弾性や粘性が増して、パンが膨らみ、麺のこしが生じます。種類は薄力粉、中力粉、強力粉に分けられその違いはたんぱく質の含量となっています。薄力粉はたんぱく質の含量が少なく、粉が細かくて、菓子やケーキ、てんぷらの衣などに向いています。中力粉のたんぱく質の含量は薄力粉と強力粉の間であり、うどんや和菓子などに向いています。強力粉は一番たんぱく質の含量が多く、粉が粗くて、パンや餃子の皮などに向いています。

 

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2)小麦粉食品と GI 値

 

 GI 値(グリセミックインデックスの略)という言葉を聞いたことはありますでしょうか? この値は、食品を食べてから体内に消化吸収され、そのあとブドウ糖となって血糖値が上昇する速度を表しています。指数が高ければ吸収が早く、低ければ吸収はゆっくりであることを示しています。穀類の場合は精製したものほど指数が高い傾向にあります。パスタは、ごはんやパンに比べて GI 値が低い食品となります。

 

 

3)GI 値とスポーツ栄養

 

 食パン、うどん、フランスパンなどの GI 値が高い食品は吸収が早いという特徴があります。運動前や運動後に有効であり、体内のグリコーゲン(糖質が体内に入るとグリコーゲンとして蓄えられる)を回復させたいときにはよいと考えられます。ただ、GI 値は調理方法や食べ合わせによって変化するので、油を使って調理したものなどと一緒に食べると GI 値は低下します。

 GI 値が低い食品は、寝ている間など筋肉が糖質を必要としているときに血液中のグルコースの濃度を長期間高くしてくれます。ただ、消化吸収が遅く、食物繊維の含有量が多いため、量は食べづらいことも考えられます。

 小麦粉食品の特徴を知って、運動前後の補食や食事に活かしていきたいですね。

 

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳

 

 

第5回:オランダ料理とスポーツ栄養


2018 年 3 月

江戸川区ゆかりの食品とスポーツ栄養

 

第5 回:オランダ料理とスポーツ栄養

 

 来る東京2020 大会に向けて江戸川区はオランダの「ホストタウン※1」として登録されました。オランダの料理をスポーツ栄養の視点を交えてご紹介します。
※1:東京2020 大会に向け、スポーツ立国、グローバル化の推進、地域の活性化、観光振興等を図るために、大会参加国や地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図る地方公共団体。(引用:江戸川区HP より)

1)スタンポット

 オランダ人は朝食と昼食はパン、チーズ、ハムなど簡単で火を使用しない冷たい物で済まし、夕食に温かい料理を食べることも多いそうです。調理法は蒸す、茹でる、煮込むといったシンプルなもの。今回ご紹介する「スタンポット」は温かい料理の定番です。じゃがいもや野菜を煮込んで潰し、盛り付けにソーセージや肉団子を添えるのが一般的です。

  • 材料(3~4人分)g(目安)
  • じゃがいも 570(小10個)
    茹でほうれん草 65
    牛乳 大さじ2
    バター 10
    ソーセージ 65(1本)

  • ★ソース
  • コンソメ 小さじ2
    料理酒 小さじ1
    牛乳 大さじ1
    ウスターソース 小さじ1
    バター 小さじ1
    ベーコン 17(2枚)
    大さじ2

 

 ※ソースの水の量は調整してください。

             

エネルギー

kcal

たんぱく質

g

脂質

g

炭水化物

g

スタンポット(写真の栄養価) 906 22.9 41.4 111.9
ソーセージ1本65g 210 7.5 19.4 1.3
ソースのみ 153 3.5 11.9 6.6

 

 

【作り方】

①鍋に塩を入れてじゃがいもを15~20 分茹でる。
②熱いうちに鍋の中で①を潰しながら、牛乳・バターを加えて混ぜる。
③茹でたほうれん草を食べやすい大きさに切り、②の鍋の中に入れて混ぜる。
④③の上にソーセージをのせ、蓋をして余熱で蒸す。
⑤ソースを作る。ベーコンを細かく切り、フライパンで炒める。
⑥火を止めてから、ソースの残りの材料を入れる。
⑦⑥を火にかけて混ぜ合わせる。
⑧ソーセージは好みのサイズに切って盛り付けし、ソースもお好みでかける。

メイン食材であるじゃがいもの主成分は炭水化物で、運動する際エネルギー源として期待できます。さらにビタミンC も豊富で抗酸化力に優れています。運動で体内に発生した活性酸素を取り除いてくれます。野菜はほうれん草を選びました。ほうれん草は緑黄色野菜でビタミン、鉄、カルシウムが豊富に含まれています。ソーセージは1 本65g の大きめのものを使いました。オランダではスタンポットの付け合わせにスモークソーセージを好む方が多いそうです。

 

 

 今回は右の写真のソーセージを使いました。スモークされており、香りがとてもよかったです。豚肉のソーセージやハム類は、疲労回復を助けてくれるビタミンB1 が豊富にふくまれますが、脂質も高いので食べる量に注意が必要です。

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全体の栄養価はソーセージとソースのベーコンで脂質が高くなりました。じゃがいもには炭水化物が豊富ですが、脂質が高いと消化に時間がかかることがあるため、運動前には控えた方がよさそうです。

下記の写真はソーセージをのせて25g の大きさにしてラップで丸めたものです。食べやすい1 口サイズにしました。

栄養価は1 個34kcal、たんぱく質1.0g、脂質1.8g、炭水化物3.6g です。練習後の食事や食欲が落ちている時などにいかがでしょうか?ソーセージの塩気でパクパク食べられるかもしれません。

 

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2)エルテンスープ

 

乾燥したえんどう豆を使ったスープです。オランダでは定番のスープで「おふくろの味」と言われています。たっぷりの野菜をじっくりコトコト煮るのでポタージュというよりは食べるスープになります。現地では盛りつけたスープにスプーンをまっすぐ立たせられる位の濃さがよいとされています。ライ麦パンを添えて食べることが多いそうです。

  • 材料(5~6人分)g(目安)
  • 乾)えんどう豆 250
    人参 150(1本)
    牛乳

    200(1個)

    バター 170(小4個)
    ソーセージ 195(3本)
    ベーコン 52(6本)
    3

 

             

エネルギー

kcal

たんぱく質

g

脂質

g

炭水化物

g

エルテンスープ(全量) 1987 89.3 85.0 217.6
ソーセージ1本65g 331 14.8 14.2 36.3

 

 

【作り方】

①乾燥えんどう豆をさっと洗い、半日くらい水につけておく。
②鍋に水1 リットルと①のえんどう豆と塩ふたつまみ位をいれて煮立たせ、沸騰したらあくを取る。
③人参・玉ねぎ・じゃがいもはみじん切り、ソーセージ・ベーコンは食べやすい大きさに切って②の鍋の中に入れる。
④弱火でトロトロになるまで煮込んで、塩で味を整える。

 

 

えんどう豆の主成分はたんぱく質と炭水化物です。豆類の種類として、あずきやそらまめ、いんげん豆はえんどう豆と同じでたんぱく質と炭水化物が多く、脂質が少ないです。私たちがよく食べるのは味噌などの調味料や豆腐、納豆など大豆の加工品が多いのではないでしょうか。大豆はたんぱく質と脂質が多く、炭水化物が少ないです。

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えんどう豆はビタミンA、ビタミンB1 も豊富に含みます。運動をしている人にとっては素晴らしい食材です。たくさんの野菜を一緒に煮込むことで栄養価もあがります。いつ食べてもよいですが、朝食は野菜料理が丌足しがちになるので、食べるスープとしておすすめです。
栄養価はソーセージとベーコンを入れたため脂質が高くなっています。脂質が気になるときはソーセージとベーコンの量を調整することや、代わりに豚肉を入れるのもよいと考えます。ソーセージやベーコンの量を減らすと塩気がなくなるので塩で調整もよいですが、チーズを入れる、パルメザンチーズをかけるのもおすすめです。 

 

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~終わりに~

運動をしている人は色々な食材から栄養を補うことによって、疲労回復が早まることや怪我の予防が期待できます。メイン食材のじゃがいもとえんどう豆は運動をしている人にとって毎日摂りたい栄養素が豊富に含まれています。紹介したオランダ料理は家庭料理でアレンジがきくものです。これを機に普段のレパートリーに加えてみてはいかがでしょうか?

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳

 

 

 

第4回:運動計画と食事の注意点について


2017 年 12月

スポー ツ栄養のコラム

 

「スポーツと栄養」
第4回:運動計画と食事の注意点について

 

  寒くなってくると運動をする機会が減る方もいるのではないでしょうか?運動を始めてやっと継続できたところでストップしてしまうと次に運動を始めることがなかなかできないこともあります。また、寒いから…あたたかくなってからと引き延ばしにしていると運動する機会を失っていく場合もあります。運動を継続している人も今から始める人も是非、年間の運動計画を立ててみてはいかがでしょうか? 

 

1)運動計画の立て方は?

 

 運動計画と言われると、「大変そう」、「面倒だな」と思うかもしれませんが大切なことは「自分が続けることのできる計画」と「計画を常に見直す」ということです。そのためにまず、1年後の目標を考えるとよいでしょう。例えば、マラソン大会の完走や何m泳げるようになるなどです。

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 運動計画の基本は、「続けられること」なので、今から運動を始める人は、生活の中で身体を動かす機会を多く作るとよいでしょう。通勤時は階段を利用する、電車では座らない、掃除に雑巾がけをする、ラジオ体操をするなどです。また、万歩計などをつけて自分が1日にどのくらい歩いているか数値で確認するのもよい方法です。日常生活の延長上で身体を動かすことを1ヵ月ほど意識し続けられたら、その習慣を続けながら、次の約3ヵ月間は、日常生活以外に運動の時間を作ります。10分くらいからでも構いません。これも習慣になるよう時間や頻度は自分の負担にならないよう気を付けます。ここで具体的な目標を考えておこなうのもよいと思います。次の3ヵ月は、前の3ヵ月を振り返り、自分が立てた計画が予定通りなら時間や頻度を増やすことや前より高い目標を設定します。計画が予定通りでない場合は、初心にもどり、日常生活の中で身体を動かす習慣から見直し「継続できる自信を取り戻す」こともよいでしょう。
 半年くらいすると自信がついてくる人または、続かなくてやめようかなと思う人に分かれることがあります。そのような時は、1年後の目標を確認すること、家族や周りの人に話すことや、一緒に運動をしてくれる人を探すのもよいでしょう。
 運動計画とは少し違うかもしれませんが、運動を始めるに際には「シューズ選び」も大切なポイントになります。運動シューズが合わなければ足が痛くなり、もう動きたくないということになりかねません。自分の足に合ったものを選び、楽しく運動を始められると気持ちがよいですね。

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2)食事の注意点

 

 いつもより活動量が増えてきたら、より水分補給を意識します。「喉が渇いたから飲もう」ではすでに体内で水分が不足し始めており遅いです。喉が渇いたと感じる前にこまめに水分を補給することが大切です。起床後、食事中、通勤中、仕事中、家事の合間、入浴前後、就寝前など運動をする以外のときでも気を付けましょう。
 食事では活動量にあわせた量を摂るようにしましょう。個人によって身体で起こる代謝や活動量は違うので、自身で管理することが大切です。管理する方法の一つに体重を毎日決まった時間に測ることをお勧めします。自分の中でたくさん動いたからたくさん食べても大丈夫と思っていても、考えていた以上に運動した消費エネルギーが低いことがあります。運動による消費エネルギーより食事からの摂取エネルギーが高い場合が続くと体重は増えていく一方です。それを把握するのに体重測定はとても重要な役割を果たします。運動習慣とセットで体重測定も習慣化できると運動計画も立てやすいかもしれませんね。
 活動量が増えてどんな食品を多く食べればよいか?と考えますが、大切なのは1日の中でバランスよく色々な食品を食べることです。私たちは、○○だけを食べていたら体調がよくなるということは考えにくく、色々な栄養素をとることにより身体は作られています。まずは現在の食事で「偏り」がないか確認して、色々な食品を食べることを意識しましょう。

 

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 最後に、運動を始めたばかりの人は筋肉痛や足をつりやすくなることがあるかもしれません。筋肉痛は運動によって筋肉が損傷することによって起きているので、たんぱく質を摂り筋肉を修復して、身体の中の活性酸素を取り除くことが重要です。身体への吸収が早い鶏肉や抗酸化力の強い青魚がおすすめです。足のつりにはカルシウム・マグネシウムを意識的に多く取り入れると予防できます。両方が豊富に含まれている食品は桜エビや干しエビです。他にはほうれん草、海藻類、ナッツ類、ゴマがあります。どれも珍しい食品ではありませんので是非意識して摂ってみてください。

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳

 

 

第3回:運動と免疫機能の関係について


2017 年 9 月

スポー ツ栄養のコラム

 

「スポーツと栄養」
第3回:運動と免疫機能の関係について

 

 生活の中に適度な運動を取り入れ続けることによって身体の調子がよいと感じることはありませんか?適度な運動は感染症のリスクを減らすと言われています。頻度にもよりますが、マラソンなどの激しい運動や過酷なトレーニングは適度な運動と比較すると感染症を引き起こしやすいとも言われています。

 

1)運動と感染症予防の関係

 

 身体の中の免疫機能が高いと感染症予防につながりますが、まずは皮膚・粘膜などで防 御できるかどうかも重要なポイントです。スポーツ選手は皮膚・粘膜の感染症が多いと言 われています。その理由として、運動による高温、低温、乾燥、湿潤、紫外線、圧迫、外 傷、土壌などの外部環境からのストレスを受けることが多いからです。また、運動中には 骨格筋への血流が促進される一方で、皮膚・粘膜・内臓への血液循環が抑制されるため、 それらのバリア機能が抑制されて病原体が侵入しやすくなることからです。 運動の強度が高くなればなるほど呼吸数が増加し、口呼吸が主体となります。そうなる と微生物が気道深部まで到達しやすくなります。鼻水や咳、淡がでることによって取り込 まれた微生物を外にだすことになりますが、運動中には気道粘膜が乾燥・冷却されて、粘 液の粘度が増すことにより病原体を排除しにくくなり感染症のリスクにつながると言われ ています。激しいトレーニングを継続している選手は一般人と比較して、くしゃみ・鼻水、 咽頭痛を訴える人が多いという調査結果もでています。このようなことから、適度な運動 を継続しながら、運動後の手洗い・うがいが感染症予防にはとても大切だということです。

 

2)健康な身体を作るための運動習慣と食事のポイント

 

 運動を継続して習慣化していくには、徐々に運動量を増やして身体への急激なストレス 反応を避けることが免疫抑制や筋の炎症を予防することにつながります。個人差はありま すが、適度な運動の影響として風邪の症状の発生頻度が減少することや癌予防でも効果が 現れているとの報告もあります。 運動と一緒に食事にも気を配ることにより、体調を崩さず継続して運動をおこなえます。 継続しておこなうことにより免疫力も高まります。ウイルスに対する身体の抵抗力が弱っ ている時に風邪をひきやすくなります。風邪から症状が悪くなることがあるので日頃から 予防を心がけたいです。風邪予防のためにはビタミン A とビタミン C を積極的に食事の中 に取り入れましょう。ビタミン A は気管の粘膜を正常に保つ働きがあるため、不足すると 風邪のウイルスが気管の粘膜などから体内に侵入しやすくなります。ビタミン A を多く含 む主な食品はレバー、卵黄、チーズ、人参です。ビタミン C は体内組織の細胞と細胞を結 びつける働きのあるコラーゲンを作ります。コラーゲンが不足すると細胞の結合がゆるみ 抵抗力が低下し、ウイルスに感染しやすくなります。ビタミン C を多く含む主な食品はい ちご、オレンジ、ピーマン、キャベツ、じゃがいもです。ビタミン A,C ともに多く含む主 な食品は小松菜、ほうれん草、かぼちゃ、ブロッコリーです。 運動後は適切な栄養補給とともに休養をしっかりとることが大切です。

 

【参考図書】

・スポーツ現場に生かす運動生理・生化学,編者:樋口 満

・ウイダー・ニュートリション・バイブル

 

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳

 

 

 

第2回:運動による疲労について


2017 年 6 月

スポー ツ栄養のコラム

 

「スポーツと栄養」
第2回:運動による疲労について

 

 皆さんは運動をしていますか?運動をする目的は「試合で勝ちたい」、「体重を落とした い」、「健康のためになど人それぞれ違うと思います。運動の強度や時間にもよりますが、身体を動かすと「爽快感」や「疲労」を感じます。疲労については運動後に動けないくらいの疲労から運動自体が気分転換となるような心地よい疲労までこれも人それぞれ感じ方が違うと思います。

 

1)疲労の原因とは?

 

 「疲労」=「乳酸が溜まってきた」と考えている方がいるかもしれませんが、運動生理学上、乳酸は私たちが身体を動かすためのエネルギー源でもあります。もう少し詳しく説明すると、私たちは運動することによってエネルギーを消費しています。アスリートになるとこのエネルギー消費が一般の人より多いため、それだけ多くのエネルギーを摂取しなければいけないことになります。エネルギーは主に糖質、脂質から作り出され、それらは血 液、筋肉や肝臓、脂肪組織に貯蔵されています。私たちの血液中にある血糖(以下、グルコース)はほぼ一定に保たれています。グルコースがエネルギー源として使われて血糖値が低 下すると、肝臓に蓄えられているグリコーゲンが分解されてグルコースになり血糖値が上昇する身体の仕組みになっています。乳酸は何かというと、主なエネルギー源の「糖質」を利用する過程でできるエネルギー源物質です。

 運動による疲労原因は多くの要因が重なって現れています。近年、注目されているのが「リン酸の蓄積」です。リン酸は強度の高い運動(マラソンなど)で多くできると言われています。また、筋収縮の働きを悪くしていることもわかっています。通常筋肉内はカリウムが多く、血液にはナトリウムが多くあります。これはエネルギーを使ってこのような濃度差というものを作り、このため体内が電気的性質をもつことによって神経の刺激が伝わり筋肉が収縮して動かすことができます。ところが、強度の高い運動をしていると筋肉からカリウムが漏れ出し、ナトリウムが筋へ流れ込むことで筋肉の収縮が悪くなりこれが疲労の原因の一つとなります(図 1)。他にも、体温が上がることや活性酸素など色々なことが複合して疲労を起こしているということです。そして自分の状態にプラスして暑熱下や寒冷化での疲労も考えられます。

 また、乳酸が蓄積することにより、カリウムが筋肉から漏れ出すことによる筋収縮低下が抑えられることも報告されています。乳酸ができることは早くエネルギーを生み出したり、カリウムが筋肉から漏れ出すことを抑制したりと、乳酸ができるから疲労するということではなく、疲労するような運動をしているので、それを押さえようとして乳酸ができているということです。それが結果的に疲労している時と乳酸が多く蓄積している時が一致していたということです。

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2)活性酸素とは?

 

 疲労の原因の一つである活性酸素。テレビや雑誌などで目にすることが多いかと思います。身体に取り込まれた酸素のうち、約2%は金属イオンや酵素の影響を受けて反応性の高い活性酸素になります。この反応性の高い活性酸素は他の物質と結びつく力がとても強く、結びついた物質から電子を奪う(酸化する)性質があります。活性酸素から電子を奪われた物質は?安定になり、今度はその物質自体が反応性の高い活性酸素となり、また他の物質から電子を奪って安定化しようとします。次々と反応性の高い活性酸素が身体でつくられていきます。活性酸素が生じるのは、生きていく以上避けられないことですが、私たちの身体の中には抗酸化物質が備わっていて普段は活性酸素を抑える役割があります。しかし、運動・精神的ストレス・喫煙・アルコールの摂りすぎなどで身体に負担がかかったときにはたくさんの活性酸素が発生します。
 運動量が多くなると活性酸素が増えますが、その働きを抑えてくれる抗酸化物質は食品からも摂取できます。ビタミン A(緑黄色野菜、レバー、魚介等)、ビタミン C(野菜、果物、イモ類等)、ビタミン E(ナッツ類、緑黄色野菜等)、などの栄養素や、カロテノイド(トマト、人参、かぼちゃ等)やポリフェノール(ココア、ブルーベリー、大豆、緑茶等)などの機能性成分は抗酸化機能が期待できます。普段の食事からバランスよく摂り入れることが望ましいです。

 

3)長く続けるために

 運動はすぐ疲れるから、活性酸素が増えるからと言ってやらないのではなく、どのような目的のために行うかを考えて取り組むことが大切だと思います。今回は運動による疲労についてお話しましたが、自身で感じる疲労感という感覚も大切にしてみましょう。自分の体調や疲労度を把握しておくことが長く、楽しく運動を続けるためには重要なことだと感じます。何事もバランスが大切です。

 

【参考図書】
・スポーツ現場に生かす運動生理・生化学,編者:樋口 満
・ウイダー・ニュートリション・バイブル

 

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳

 

 

 

第1回:運動・スポーツ時の水分補給について


2017 年 3 月

スポーツ栄養学のコラム

 

「スポーツと栄養」
第1回:運動・スポーツ時の水分補給について

 

皆さんは運動・スポーツをするとき何をどのくらいの頻度で飲んでいますか?

 

1)発汗について

 

 身体を動かせば汗をかきます。汗をかくことは、暑熱環境下の運動・スポーツ時にはとても 大切な働きです。汗をかくと皮膚の表面で蒸発するしくみになっています。汗が蒸発するとき に皮膚表面の熱を奪い、体温を下げようと働きます。

これを「有効発汗」と言います。

しかし、すべての汗がこのように蒸発するわけではなく蒸発する前に身体の表面からしたたり落ち ることもあり、これを「無効発汗」と言います。

汗の蒸発の度合は、外気の湿度に影響されます。

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湿度が高いほど熱の放散が制限されるため、無効発汗が多くなります。

 運動・スポーツ時には湿度を確認してから始めるとその日の汗のかき方にも違いを感じられるかもしれません。

また、体調のバロメーターとして確認することで、運動・スポーツの質も上がるのではないでしょうか。

 

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2)喉の渇きと水分補給について

 

 私たちは日常生活を送っている際も身体から水分 が失われており、「喉の渇き」を感じることによって調整しています。

運動・スポーツ時には「喉の渇き」 が遅れて表れると言われています。それは、体内の水 分が丌足してもすぐに喉が渇くわけではなく、汗で失った水分の回復が遅れることを指し、脱水になりやす い状況となります。

ですから、運動・スポーツ活動中 は意図的にこまめに水分補給する必要があるということです。

 

3)脱水と水分補給について

 

 「脱水」が運動パフォーマンスを低下させることは、数多くの研究で証明されてきました。では、「脱水」にならないよう、どのような水分補給が望ましいかということですが、 運動・スポーツ時には「喉の渇き」が遅れることを考慮し、飲みすぎを危惧するより脱水予防が重視されるようになりました。

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推奨される飲水量の目安は、運動・スポーツ前後で 「体重減少が 2%を越えない程度の水分摂取量」とされています。

毎回、体重を計測できる環境にあればよいのですがなかなか容易ではないことも考えられます。さらには個人の体重や元々の発汗 量なども考慮する必要があります。

まずは、自身の「喉の渇き」 というものを意識して運動・スポーツ活動を実施してみることを お勧めします。

 

4)低ナトリウム血症について

 

 近年のマラソンブームで様々なマラソンイ ベントが開催されており、「マラソンをはじめた」という方もたくさんいるかもしれません。

マラソンやトライアスロンなどの長時間スポ ーツは適切な水分補給が行われないと熱中症 や脱水が起こることが多いですが、脱水とは反対に水の飲みすぎで血液中のナトリウム濃度が低下する低ナトリウム血症の場合もあります。

水中毒とも言われ、細胞の水が過剰になる 現象です。

発症例では、やはりほとんどが発汗量以上に水を飲みレース後に体重が増えて いたケースが多いそうです。

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長時間のスポーツ活動では、熱中症のリスクとともに、飲みすぎによる低ナトリウム血症のリスクも認識し、普段から自身にあった水分補給を知っておくことが大切です。

 

 

5)胃の通過速度から考える水分補給

 

 ここまで運動・スポーツ時の発汗・脱水症状から水分補給の重要性について述べてきました。

最後にどのような内容のものが好ましいかということですが、飲んだ水分は、小腸、 大腸から吸収されて、胃では通過するだけで吸収されません。しかし、胃を通過する速度は様々なものの影響を受けることがわかっています。影響を受ける中で、甘い飲み物、温かい飲み物ほど胃の通りは遅くなります。したがって、胃の通過する速度から考えた運動・ スポーツ活動中の飲料として好ましいものは、飲料として糖質の濃度が低く(甘すぎない 飲み物)、冷たいものが胃の吸収が早いということです。

胃の通過速度は個人差が大きいこ とと、飲んだ水分が胃にたまりやすい人もいるので、飲む量を控えるなど個人で調整する必要はあります。また、冷たすぎる飲み物はお腹をこわす人もいるので気を付けなければいけません。やはり日頃から自分にあった水分補給というものを意識して、調整し、試合などの大切な日に向けて考えることが重要ということです。

 

6)まとめ

 

 これまでなんとなく運動・スポーツ時はスポー ツドリンクを飲めばよい、熱中症予防のためにた くさん飲めばよいと思っていた方がいるかもしれません。

しかし、一度水分補給の目的を考え、 自身の発汗量を知り、どれくらいの水分量を補給すれば運動・スポーツを楽しむことができるのか、 大切な試合の日に自分の力を発揮できるのかということを考えるきっかけとなれば幸いです。

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※参考図書 スポーツ現場に生かす運動生理・生化学,編者:樋口 満

 

コーディスポーツ

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

寺尾 美佳

 

 

 

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