第11回:瞬発力系スポーツの食事ポイント
2019 年 8月
第11回:瞬発力系スポーツの食事ポイント
瞬発力系のスポーツは、筋力が必要になります。筋肉量を増やすには筋肉の材料となる栄養素を摂り、適切な筋肉トレーニングをおこなうことで筋力がアップします。柔道、レスリング、体操、陸上短距離などが挙げられます。
栄養素のポイントは①筋肉の材料となる良質なたんぱく質を摂り、②筋肉量増加の効果を高めるために炭水化物(糖質)を摂取してエネルギー源を確保し、③サポート役のビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、亜鉛も積極的に摂取します。
【①良質なたんぱく質】について
良質なたんぱく質とは、必須アミノ酸※1の組成がよいものです。必須アミノ酸とは、体内で十分な量を合成することができないため、食事で摂る必要のあるアミノ酸です。肉類、魚類、卵類、大豆・大豆製品、牛乳・乳製品や穀類などの色々な食材に必須アミノ酸は含まれていますが、必須アミノ酸9種類の含有量のバランスは食材によって異なります。そこで必須アミノ酸をバランスよく含んでいる食材が筋肉の材料にもなる良質なたんぱく質となります。
BCAA(分岐鎖アミノ酸)という言葉をどこかで見たこと、きいたことはありますか?筋肉の分解を抑制して、筋たんぱく質の合成を促進し、疲労回復を促すと言われています。このBCAAとはバリン、ロイシン、イソロイシンという3種類の必須アミノ酸の総称です。食品でこの3種類を多く含んでいる主なものは、鶏むね肉(皮なし)、マグロ(赤身)、豚ロース(脂身なし)、サバ、納豆です。
たんぱく質の摂取量は一般成人であれば体重あたり0.8~1gです。体重50kgでは、
1日40g~50gです。
たんぱく質は、マグロ(赤身)、うなぎ、鶏ささみ、鮭、豚もも、秋刀魚、木綿豆腐、プロセスチーズなどに多く含まれています。1日の中でも、1食の中でも偏りなく色々なたんぱく質を組み合わせて摂ることが重要です。
※1:私たちの身体のたんぱく質は20種類のアミノ酸から構成されており、9種類の必須アミノ酸と11種類の非必須アミノ酸に分類されている。
【②糖質】について
筋肉を増やすためにはたんぱく質だけを多く摂ればよいというものではありません。効率よく筋肉を増加させるためには、ご飯、パン、麺類などの糖質量を十分摂取しておくことが重要です。運動中のエネルギー源を糖質から確保しておかなければ、体たんぱく質(私たちの身体の中のたんぱく質のこと)の分解が身体の中で促されて、筋肉を壊すことで運動に必要なエネルギー源を供給するように働きます。これでの運動の意味がなくなってしまいます。
【③ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、亜鉛】について
ビタミンB6はたんぱく質の代謝をサポートします。アミノ酸から別のアミノ酸を生成する反応にも補酵素として働き、筋たんぱく質の促進に貢献します。主な食材はニンニク、マグロ(赤身)、カツオ、サバ、レバーなどです。
ビタミンCはたんぱく質の一種であるコラーゲン繊維の合成に必須の成分で不足するとコラーゲンが作られません。筋肉を構成している筋膜や腱もコラーゲン繊維が主成分となるため欠かせません。主な食材は、野菜・果物で特にアセロラ、キウイ、ブロッコリー、レモンなどに多く含まれています。
ビタミンD、亜鉛どちらも筋たんぱく質の合成を促進します。ビタミンDは鮭、いわし、うなぎ、さんまなどに多く含まれています。また、食事からだけでなく日光照射で合成もできます。亜鉛は牡蠣、豚レバー、牛肉、卵黄などに多く含まれています。
選手だけでなく一般の人が筋肉をつけたい、早く増やしたいと考えるとサプリメントでたんぱく質を意識的に多く摂る傾向がみられますが、まずは基本的な食事を見直すことが大切です。食事からでも十分なたんぱく質が摂取できます。
サプリメントは食事を補うものです。消化・吸収の速度が早いメリットもあります。アスリートでは増量・減量時、合宿などで運動量が増加するとき、体調不良で十分な栄養素を確保できないとき、試合の合間で食べられないなど時と場合に応じて食事を補うものとして活躍しているのも事実です。
サプリメントを利用する際は専門家に相談して、本当に必要なのか、必要な場合はどのようなものをどのくらい摂ればよいのかを考えて摂ることが大切です。
参考・新食品成分表、東京法令出版
・スポーツ栄養学、箸)寺田 新
・アスリートのための栄養・食事ガイド
・筋肉をつくる食事・栄養
コーディスポーツ
管理栄養士・公認スポーツ栄養士
寺尾 美佳

































