第5回:オランダ料理とスポーツ栄養
2018 年 3 月
江戸川区ゆかりの食品とスポーツ栄養
第5 回:オランダ料理とスポーツ栄養
来る東京2020 大会に向けて江戸川区はオランダの「ホストタウン※1」として登録されました。オランダの料理をスポーツ栄養の視点を交えてご紹介します。
※1:東京2020 大会に向け、スポーツ立国、グローバル化の推進、地域の活性化、観光振興等を図るために、大会参加国や地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図る地方公共団体。(引用:江戸川区HP より)
1)スタンポット
オランダ人は朝食と昼食はパン、チーズ、ハムなど簡単で火を使用しない冷たい物で済まし、夕食に温かい料理を食べることも多いそうです。調理法は蒸す、茹でる、煮込むといったシンプルなもの。今回ご紹介する「スタンポット」は温かい料理の定番です。じゃがいもや野菜を煮込んで潰し、盛り付けにソーセージや肉団子を添えるのが一般的です。
- 材料(3~4人分)g(目安)
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じゃがいも 570(小10個) 茹でほうれん草 65 牛乳 大さじ2 バター 10 ソーセージ 65(1本) - ★ソース
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コンソメ 小さじ2 料理酒 小さじ1 牛乳 大さじ1 ウスターソース 小さじ1 バター 小さじ1 ベーコン 17(2枚) 水 大さじ2

※ソースの水の量は調整してください。
エネルギー kcal |
たんぱく質 g |
脂質 g |
炭水化物 g |
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スタンポット(写真の栄養価) | 906 | 22.9 | 41.4 | 111.9 |
ソーセージ1本65g | 210 | 7.5 | 19.4 | 1.3 |
ソースのみ | 153 | 3.5 | 11.9 | 6.6 |
【作り方】
①鍋に塩を入れてじゃがいもを15~20 分茹でる。
②熱いうちに鍋の中で①を潰しながら、牛乳・バターを加えて混ぜる。
③茹でたほうれん草を食べやすい大きさに切り、②の鍋の中に入れて混ぜる。
④③の上にソーセージをのせ、蓋をして余熱で蒸す。
⑤ソースを作る。ベーコンを細かく切り、フライパンで炒める。
⑥火を止めてから、ソースの残りの材料を入れる。
⑦⑥を火にかけて混ぜ合わせる。
⑧ソーセージは好みのサイズに切って盛り付けし、ソースもお好みでかける。
メイン食材であるじゃがいもの主成分は炭水化物で、運動する際エネルギー源として期待できます。さらにビタミンC も豊富で抗酸化力に優れています。運動で体内に発生した活性酸素を取り除いてくれます。野菜はほうれん草を選びました。ほうれん草は緑黄色野菜でビタミン、鉄、カルシウムが豊富に含まれています。ソーセージは1 本65g の大きめのものを使いました。オランダではスタンポットの付け合わせにスモークソーセージを好む方が多いそうです。
今回は右の写真のソーセージを使いました。スモークされており、香りがとてもよかったです。豚肉のソーセージやハム類は、疲労回復を助けてくれるビタミンB1 が豊富にふくまれますが、脂質も高いので食べる量に注意が必要です。 |
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全体の栄養価はソーセージとソースのベーコンで脂質が高くなりました。じゃがいもには炭水化物が豊富ですが、脂質が高いと消化に時間がかかることがあるため、運動前には控えた方がよさそうです。
下記の写真はソーセージをのせて25g の大きさにしてラップで丸めたものです。食べやすい1 口サイズにしました。
栄養価は1 個34kcal、たんぱく質1.0g、脂質1.8g、炭水化物3.6g です。練習後の食事や食欲が落ちている時などにいかがでしょうか?ソーセージの塩気でパクパク食べられるかもしれません。
2)エルテンスープ
乾燥したえんどう豆を使ったスープです。オランダでは定番のスープで「おふくろの味」と言われています。たっぷりの野菜をじっくりコトコト煮るのでポタージュというよりは食べるスープになります。現地では盛りつけたスープにスプーンをまっすぐ立たせられる位の濃さがよいとされています。ライ麦パンを添えて食べることが多いそうです。
- 材料(5~6人分)g(目安)
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乾)えんどう豆 250 人参 150(1本) 牛乳 200(1個)
バター 170(小4個) ソーセージ 195(3本) ベーコン 52(6本) 塩 3

エネルギー kcal |
たんぱく質 g |
脂質 g |
炭水化物 g |
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エルテンスープ(全量) | 1987 | 89.3 | 85.0 | 217.6 |
ソーセージ1本65g | 331 | 14.8 | 14.2 | 36.3 |
【作り方】
①乾燥えんどう豆をさっと洗い、半日くらい水につけておく。
②鍋に水1 リットルと①のえんどう豆と塩ふたつまみ位をいれて煮立たせ、沸騰したらあくを取る。
③人参・玉ねぎ・じゃがいもはみじん切り、ソーセージ・ベーコンは食べやすい大きさに切って②の鍋の中に入れる。
④弱火でトロトロになるまで煮込んで、塩で味を整える。
えんどう豆の主成分はたんぱく質と炭水化物です。豆類の種類として、あずきやそらまめ、いんげん豆はえんどう豆と同じでたんぱく質と炭水化物が多く、脂質が少ないです。私たちがよく食べるのは味噌などの調味料や豆腐、納豆など大豆の加工品が多いのではないでしょうか。大豆はたんぱく質と脂質が多く、炭水化物が少ないです。 |
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えんどう豆はビタミンA、ビタミンB1 も豊富に含みます。運動をしている人にとっては素晴らしい食材です。たくさんの野菜を一緒に煮込むことで栄養価もあがります。いつ食べてもよいですが、朝食は野菜料理が丌足しがちになるので、食べるスープとしておすすめです。
栄養価はソーセージとベーコンを入れたため脂質が高くなっています。脂質が気になるときはソーセージとベーコンの量を調整することや、代わりに豚肉を入れるのもよいと考えます。ソーセージやベーコンの量を減らすと塩気がなくなるので塩で調整もよいですが、チーズを入れる、パルメザンチーズをかけるのもおすすめです。
~終わりに~
運動をしている人は色々な食材から栄養を補うことによって、疲労回復が早まることや怪我の予防が期待できます。メイン食材のじゃがいもとえんどう豆は運動をしている人にとって毎日摂りたい栄養素が豊富に含まれています。紹介したオランダ料理は家庭料理でアレンジがきくものです。これを機に普段のレパートリーに加えてみてはいかがでしょうか?
コーディスポーツ
管理栄養士・公認スポーツ栄養士
寺尾 美佳